2017年9月26日火曜日

2017年度 大学間里山交流会

 みなさまこんにちは,よしだです。

 9月24日(日曜日)~25日(月曜日)にかけて行われた「2017年度 大学間里山交流会」に参加してきました。場所は兵庫県三田市の関西学院千刈キャンプ。現地に行くまでは遠いイメージだったのですが,名古屋からだと新幹線で新大阪まで行き,そこから在来線に乗り換えて一本で三田市まで行くことができるので,思ったほど遠くない距離です。今回金城からは,小野先生と私の2人が参加しました。

 三田駅からはバスで20分ほど。バス停を降りるとすぐに施設の入口があり,森の中の小道を進んでいきます。
 
 中央にあるのが,会場となるセンター棟です。この日は子供向けのイベントが行われていたようで,とても賑やかでした。

 講演会場です。中央奥におられるのが,今回の世話人である関西学院大学の佐山先生。まだ始まる前なので人があまりいませんが,ここで各大学の取組みの発表が行われました。 

 日がかげる頃まで講演が続き,食堂で夕食をいただき,さらに「里山人材育成における大学の役割」というテーマで討論会となりました。一旦お風呂に入ったあとは,再び食堂で「交流会」が行われました。これらは写真を撮っていなかったのですが,ひとくちに里山と言ってもさまざまな切り口があるだけに,研究もさまざまでおもしろいですね。逆に言うと,自分が見ているものが「里山のすべて」ではない,ということにもなります。

 ちなみにここは野外活動施設ですが,里山交流会の参加者にはキャビンという名の離れを宿泊用に割り当てていただき,快適に過ごすことができました。
和室の一軒家です。
これがなんと10棟もあるのです!
 
 25日も天気に恵まれ,森に射す朝日がきれいでした。
 
 この日は千刈キャンプの観察会で,森林の植生や管理などについて教えていただきました。下の写真は「ナラ枯れ」を起こしたコナラの様子を観察しているところです。名古屋ではナラ枯れがひどかったのは2011年頃で,すでに収束していますが,このあたりではまさに病気が大流行している最中なのだそうです。

 ナラ枯れを起こして枯れた木は伐倒して,キャンプで使う薪にしているのだそうですが, 枯れる木が多すぎてとても追いつかないとのこと。それくらいどんどん枯死がすすんでいるのです。

 さて,森の中ではガマズミがきれいな赤い実をつけていたりと秋らしい感じがあちこちに見られましたが,ちょうど手の届くところにあったのがこのアケビ。食べごろなのに誰も(人間も鳥も)手を付けていません。ならばちょっと味見を,ということでみんなで少しずついただきました。

 この千刈キャンプは60年以上前に開設された施設だそうで,その当時に建てられた施設もまだ現役です。中は木床の大広間になっていて,味のある建物ですね。 
 
 千刈キャンプを出て少し歩いたところ移動しました。ここはかつて,関西学院の農村教育実習場という場所だったとのことですが,今はその役割を終えて,活用を模索しているところだそうです。

 その片隅で,佐山先生が「里山実習」という講義で取り組んでおられるのが,クヌギ林の再生実験。筒のようなものの中にクヌギの苗が育っています。筒が付けられていたり,周りに柵がしてあったりするのは,シカの食害を防ぐためだそうで,このあたりもシカの進出が見られるそうです。 

 実験地の周囲で小さな可憐な花が咲いていました。薬学部の生薬の勉強でド定番?のゲンノショウコです。高山植物でド定番の「ハクサンフウロ」と同じフウロソウ科なので,花のつくりはとてもよく似ていますが,ゲンノショウコの花はハクサンフウロよりもずっと小ぶりです。 
 
 こんな虫がいましたよ~と見せていただいたのはカメムシ! カメムシといえば悪臭で有名ですが,このカメムシは「青リンゴ」のにおいを出すのです。みんなでにおいをかいで「本当だ~!」と感激! おもしろいですね。
 
 いろいろな専門分野の先生や学生さんが一緒なので,観察もそれぞれの視点から「気づき」を与えてくださり,とても楽しいひと時でした。再びセンター棟に戻って記念写真を撮り,解散となりました。

 次回の里山交流会は山梨になるのでは?というお話でした。私は今回,多忙により発表準備ができず講演を聞くだけでしたが,次回は発表できるようがんばります!
 

2017年9月22日金曜日

台風後の八竜湿地

 みなさまこんにちは,よしだです。

 今週月曜日の夜,名古屋付近を台風18号が通過しました。暴風雨の時間はそれほど長くはなかったように感じますが,かなり強い風が吹き,それなりに雨も降ったので,時間が空いた今日,八竜湿地の様子を見に行ってきました。
 
 が,八竜湿地の手前,ため池の横の道で大きなアベマキの木が傾き,「きけん 立入禁止」というテープが巻かれていました。

 写真だとあまり大きいように見えませんが,腕の長い私が幹を抱えて,左右の指先がちょうど触れるくらいですから,直径が50~60cmほどもある大木です。以前から根元にキノコが多数生えていたのですが,それで根元が弱り,台風の強風で倒れたのでしょう。

 横倒しになっていないのは,大きな木に寄りかかっているためで,撤去するのも大変そうです (汗)。

 一方,私の流量測定装置ですが,こちらは落ち葉が多少積もったくらいで,異常はなくほっとしました。

 湿地内の様子を見ても,特に台風で何か被害があったようには見えませんでした。少し気温が下がって,シジュウカラやメジロなどが混群をつくり始めていました。秋冬の風物詩ですね。
写真には写っていませんが,メジロもいました。

 秋らしい写真ということで,紅葉し始めたヤマハゼとか・・・

 たわわに実るエゴノキとか・・・

 つい最近まで暑い暑いと言っていたのに,季節の移ろいは確実に進んでいるようです。
 

2017年9月10日日曜日

KSC駒ヶ根合宿(2日目)

 みなさまこんにちは,よしだです。
 
 前回に引き続き,KSCの駒ヶ根合宿についてお伝えします。今回はその2日目,いよいよ中央アルプスの最高峰,木曽駒ヶ岳を目指します。木曽駒ヶ岳の標高は2956m。日本で25番目に高い山ですが,ロープウェイが通じているので容易に登ることができる山の一つです。
 
 合宿2日目の朝は早く,起床は5時30分,6時過ぎには朝食をいただき,ロープウェイ駅に通じるバスの乗り場に早速向かいました。天気は晴れ。期待が膨らみます。
すでにたくさんの人がバスを待っています
臨時便のバスでロープウェイ駅に向かいます
 
 ロープウェイ駅に着くと整理券が配られ,ここで1時間ほど待つことになりました。今年なかなかなかった天候の良い週末だけに,どっと人が押し寄せたようです。
いよいよ私たちの順番がやってきました
 
 ロープウェイの上の駅である千畳敷(せんじょうじき)に着くと,もはや「寒い」と感じる世界。ここから山頂まで,近いとは言ってもちゃんと登山届を出して登頂開始です!
 
 氷河期に氷河が地表を削ったカール地形で有名な千畳敷ですが,何度来てもいいところですね~。空の青と地表の緑がまぶしいくらいです。 
 
 時期的に高山植物の花は終わりかけで,トウヤクリンドウ・トリカブト・ウサギギク・イワツメクサなどが一部で見られたくらいでした。一方でナナカマドは実がわずかに色づき始め,チングルマは綿毛をつけて,秋めいた印象を受けました。
綿毛になったチングルマです
草のように見えますが,これでもちゃんとした木(樹木)です
 
 私たちのすぐ近くにやってきたのはイワヒバリ。今年生まれたばかりでしょうか。ちょこちょこ歩き回って虫を食べている姿がとてもかわいらしいです。
手が届きそうなくらい近くまでやってきました
 
 やや急な登山道をゆっくり登り,乗越浄土(のっこしじょうど)という地点からは緩やかな道を歩きます。少し余裕ができたので,一時的に霧が晴れて姿を現した宝剣岳(ほうけんだけ)をバックに写真を撮りました。
 
 千畳敷を出て1時間半,木曽駒ヶ岳の手前にある中岳(なかだけ,2925m)に到着しました。人が多いですね~。ここで小野先生と学生さん1人が安全をみて先に戻ることにし,残る4人が木曽駒ヶ岳の山頂を目指しました。
 
 中岳を出て30分,木曽駒ヶ岳の山頂に到着です! 一番上まで来たので,「1」をポーズに写真を撮ってもらいました(笑)。
 
 天気はいいのですが,周りに雲が多く,残念ながら眺望はほとんど楽しむことができませんでした。ここから見る南アルプス・富士山・御岳山・北アルプスなど,初めて登頂した2人の学生さんや朴先生に楽しんでほしかったのですが…
360度こんな感じの景色でした…
 
 小野先生たちをお待たせしているので早々に頂上を後にし,途中の中岳は山頂を通らない道を通ってショートカットします。ただしここは岩場の道。思ったよりも楽はさせてくれません。岩稜帯好きの私は楽しんでいましたが(笑)。
 
  学生さんも朴先生も,険しい道をそれなりに楽しんで攻略していました。そして一瞬雲が切れたときにはこんな景色が!
写真ではお伝えしにくいですが
一同感激の景色でした
 
 乗越浄土まで戻り,急な下りを前にお昼にしました。お湯を沸かしてカップラーメンやみそ汁,紅茶などで暖まりました。
ちょっとだけのんびりと休憩です
 
 乗越浄土からの下りは,歩きにくさもさることながら,人の多さもあって時間が少々かかってしまいました。登る人,下る人,速い人,遅い人,いろいろな人がいるから,道を譲ったり,譲ってもらったり。
人気の山ですからね
 
 ロープウェイ駅に近づいたころ,千畳敷のカールにぱっと光が射し,ほんとにきれいでした。
絵になる景色です
 
 先に下っていた小野先生と学生さんと合流,最後に記念写真です。このあと30分ほど待ってからロープウェイで下山しました。
このころまた雲が降りてしまいました
 
 ロープウェイからバスにスムーズに接続したのですが,曲がりくねった細い山道を下るバスの走りも驚くほどスムーズで無駄がないです! もはや職人技ですね。たまたま座れた最前列で一同感動していました。
 
運転手さん,ありがとうございます!
 
  こうして初めてのKSC合宿のメインイベントは無事に終わり,名古屋に戻りました。普段の里山とは全然違う自然を満喫できたのではないかと思います。

 最後に,今回快く合宿を受け入れてくださり,かつ何かとお世話になった小野先生と奥様に感謝申し上げます。本当にありがとうございました。同行してくださった朴先生,参加した学生さん,おつかれさまでした。
 

KSC駒ヶ根合宿(1日目)

 みなさまこんにちは,よしだです。

 KSCでは今年初めての試みとして,合宿を行いました。場所は長野県駒ヶ根市。なぜ駒ヶ根を選んだのかというと,この3月までKSC代表を務めておられた小野先生のお宅があるからです。ここに泊めていただいて,バーベキューをしたり,山登りをしたりという趣向です。

 小野先生のご自宅に着くと,ボードには嬉しいメッセージが (^_^)
おじゃましま~す
 
 ここは標高が700mくらい。晴れて暑さはあるものの,やはり名古屋よりも涼しく,空気が澄んでいます。
駒ヶ根から見た東側の山々
雲が多くて南アルプスの山々は見えませんが,
きもちのいい青空が広がっています
 
 先に温泉でお風呂を済ませ,買い出しや準備を手分けして行い,日が傾いたころからバーベキューです! お庭でこんなことができるなんてすてきですね!
 
 お肉や野菜を焼いていただきます。お肉とソーセージは小野先生がお気に入りのお店で買ってきてくださったものでとてもジューシーでおいしく,手前のトウモロコシは地元産で,とっても甘くておいしかったです!
 
 他にはこんなお肉も。買い出しで見つけたシカ肉です。信州ではシカが増えて困っているのですが,このように食材として活用することが大切ですね。学生さんにとってはシカは初めてだったそうですが,おいしくいただきました。
 
 西の山に日が沈み,しばらくすると雲の中に隠れていた南アルプスの仙丈ヶ岳の頂上部分が姿を現し,西日に照らされていました。なんてすてきな景色なんでしょう!
 
 周りがすっかり暗くなった頃,バーベキューを終えてこんどは花火を楽しみました。今回学生さんが,もともと6名参加の予定が3名になってしまい,人数に対して花火が多すぎになってしまいましたが,少し遅い「夏の楽しみ」を満喫できました。
 
 花火が終わると,小野先生のお宅の中に戻り,虫の音を聞きながら話に花を咲かせました。が,翌日は木曽駒ヶ岳の山登り。遅くならないうちにふとんに入りました。
 
(2日目のようすは次回につづきます)
 

2017年9月7日木曜日

八竜湿地で植生調査

 みなさまこんにちは,よしだです。

 今週八竜湿地では,2009年以来となる植生調査が行われました。湿地全体を5m区画でビニールテープを使って区分を行い,そこに生えている植物の群落を記録していくというものです。
整然と区画が設定されています
 
 私が見学に行った5日の午前は,上の段の通称「旧池湿地」で調査が行われていました。植生の記録をしているのは,2009年の調査もされた中西先生。愛知県環境審議会専門調査員をされている方です。区画内を縦横無尽に歩いて植物を見るのではなく,端から区画全体を見渡して記録をされていました。それでわかるのがすごいと思います。

 植生調査は大変な準備と地道な作業から貴重なデータが得られるのだということがよくわかります。本当にありがたいですね。
 
 ところで9月になって湿地の状況も変わってきました。まず目についたのがマメナシで,木によって数にばらつきはあるものの,「梨らしい」実をつけていました。
 
 ひっそりと咲いていたのがサワギキョウ。ほかの湿地でも見たことがありますが,八竜のサワギキョウは全体的に草丈が小さめです。どんな要因で小ぶりになっているのか,調べると面白そうです。
 
 で,最後にちょっと怖いものも。水源の森と八竜湿地を守る会の方が指さした先にあったのは,かなり大きなスズメバチの巣です! 自分の位置から30mは離れており,誰でも歩ける遊歩道からもそれなりに距離があるので,今のところ襲われることはないと思いますが,目に見える場所にあるので気になりますね。
気をつけましょう!
 


2017年9月5日火曜日

あいちの未来クリエイト部(その4)

 みなさまこんにちは,よしだです。
 
 きのう (9/4) は,あいちの未来クリエイト部のミーティングで松平高校にお伺いしました。
  
 今回はまず,ファシリテーターの長谷川先生からのご依頼で,竹炭がにおい物質を吸着することを示した論文を紹介しました。と言っても専門用語ばっかりの難しい内容なので,私がダイジェスト版を作って説明しました。論文というのは慣れないとちょっととっつきにくいですが,いろいろな意味で勉強になると思います。
  
 それが終わると環境教育プログラムの作成に入るのですが,これまで家庭クラブの2年生メンバーが中心となって話を進めてきたのに対し,今回からは1年生メンバーの5人もプログラム作成に加わりました。
  
 まずは2年生が,先週のミーティング以後考えてきた二つのプログラムを説明しました。
 
  これを基に具体的にプログラムの詳細を詰めていきました。今日初めて来た1年生にとっては,途中合流だし,相手は先輩だしでちょっと口が出しづらかったかもしれませんね。一方で大人(?)は,ここはアドバイスのしどころということで,一緒に椅子をならべて口を出していました(笑)。
 
 予定していた2時間はあっという間に過ぎ,西の空がほのかに夕焼けとなるころ,きょうのミーティングを終えました。次回は10月中旬。1ヶ月ちょっと先ですが,こんどは完成品ができていなければならなりません。決してのんびりできるわけではないですが,学年の垣根を越えてがんばってほしいですね!