2017年2月18日土曜日

八竜緑地意見交換会と勉強会

 みなさまこんにちは,よしだです。

 きょう (2/18) は大学のN1棟の教室で,「八竜緑地意見交換会」「八竜湿地勉強会」が開催されました。意見交換会は毎年一回この時期に開いていて,八竜湿地とその周辺の森を含めた八竜緑地に関係する人たちが集まり,これまでの活動報告と,今後の予定について発表し,意見を出し合うというものです。金城からは小野先生と私が出席しました。
会が始まる前の様子です
 
 この席上,八竜湿地の保全をされている「水源の森と八竜湿地を守る会」さんからは,昨年度のどのような作業をしたのか,保全の上でどのような課題があるのかについて詳細なご報告がありました。地元学区の区長さんからは八竜緑地が地域の魅力向上につながることへの期待感,「守山自然ふれあいスクール」でお世話になっている守山区役所さんからは,区として積極的にアピールしたいとのご意見が出ました。また,緑地の管理を担当している守山土木事務所・名古屋市みどりの協会さんからは今後の管理計画等について報告がありました。

 金城からは小野先生から退職のご報告とともに,私からは昨年の湿地の水量・水質の状況についてみなさんにご説明しました。

 さて意見交換会に続いて,会場を変えて勉強会です。今回は小野先生による「八竜湿地の歴史から学ぶ」というタイトルでの講演が行われました。こちらは一般の方も参加できる催しです。
たくさんの方が集まっています

 八竜湿地に関する小野先生の調査の結果を基に,かつての八竜湿地の状況から,湿地保全はこれからどうしたらよいのかについてまで,盛りだくさんのお話でした。特にいま小野先生が熱心に取り組んでおられる埋土種子の研究では,「今ならまだ間に合う」という先生のご意見がみなさんの印象に残ったようです。

 八竜湿地は地元の方たちによる保全だけでなく,行政による管理・バックアップ,そして大学による調査が行われており,このような体制が整っているところはあまりなく,保全の先進事例と言っても過言ではありません。私としても重要な役割を担っているという認識を持って,これからも調査にあたっていきたいと思います。
 

2017年2月14日火曜日

笠置山に登ってきました

 みなさまこんにちは,よしだです。

 先日私は金華山(岐阜城)に登った話を書きました。この時は天気がとてもよくて,はるかかなたの南アルプスの白い峰まで見えていたのですが,その手前に立ちはだかる黒い山が気になってしまいました。あの山に登ったら,きっともっときれいに南アルプスが見えるのではないか?と思ったのです。それが今回のタイトルにある笠置山です。
金華山からでも南アルプスの
名峰がこんなに見えます!
 
 というわけで,八竜湿地研究会の前日,2月4日(土曜日)に笠置山に登ってきました。恵那市と中津川市の間にある1128 m の山で,中央自動車道からきれいな立ち姿で見えます。

 この山にはちょっとした名所があります。天然記念物のヒトツバタゴです。ヒトツバタゴとは東海地方の丘陵地の湿地などに生育する植物で,八竜湿地のマメナシやシラタマホシクサと同じ「東海丘陵要素植物群」の一つです。
 ヒトツバタゴは5月頃,雪が降り積もったように白い花を咲かせます。他の木にはない花が咲くので「ナンジャモンジャ」という別名があるくらいです。それまで長崎県の対馬でしか見つかっていなかったヒトツバタゴが,初めて本州で確認されたという,由緒ある個体です。
いまは葉を落としていますが,大木なので
花が咲いたらすばらしいでしょうね!
 
 山頂を目指して歩いていくと,それまでなかった雪が現れました。いつしか登山道にも雪が積もるようになりました。これがなかなかの曲者で,登山道は人が雪を踏みしめるので固くなり,さらにそれが寒さでカチコチに凍っているのです! いわゆるアイスバーンですね(汗)。慎重に歩いていきます。
 
 駐車場からほぼ1時間で山頂に着きました。山頂は神社が建っているのですが,神社らしく木が生育しているので眺望はありません。ここから少し下ったところにもう一つの名所,ヒカリゴケの生育地があるので見に行きました。10分ほど歩いた・・・と書くと何でもないようですが,しっかり積もった雪の中を歩くのは大変です! で岩陰をのぞいてみたのですが・・・
これっ,ですかね???
 
 岩陰の中にそれらしいものはなく,入口あたりで見たのが上の写真。確かに鮮やかな緑色ですが,周りが明るいからか,光っている感じはないですね。

 頂上は眺望がない,と先ほど書きましたが,少し先に進むと木製の展望台があります。周囲の木が切られてそれはそれはすばらしい展望が広がっていました! 正面には大きな御岳山が!
噴火で不幸なこともありましたが,
美しい山容ですね
 
 御嶽山の右には中央アルプスの山々がずらりと並んでいます。下の写真は標高2500 mを超える山域を中心に撮ったもの。名古屋からも同じように見えますが,やっぱり大きいですね。
 
 そして南アルプス。1枚目の写真とほぼ同じ並びで撮っているので,比べて見てください。北岳がちゃんと見えるようになったほか,金華山からはこの笠置山で隠れていた中央部分,西農鳥岳(3051 m) と農鳥岳(3026 m) も見えています。
なんて美しい!

 あまりに天気が良くてずっとぼーっとこれらの山を眺めていました。こんなに天気が良くて見晴らしもいいのに,他には私よりの年上のご夫婦と,学生さんとあまり変わらないくらいの若い女性(しかもお一人で!) くらいでした。
 美しい自然を眺めることができてとても幸せな一日でした(^_^)
 

2017年2月6日月曜日

第4回 八竜湿地研究会

 みなさまこんにちは,よしだです。
 
 きのう2月5日(日曜日),金城で第4回の八竜湿地研究会が開催されました。この研究会はもともと,八竜湿地の地質を調べて,湿地が過去どんな環境であったかを明らかにする目的で発足したのですが,東海地方の湿地に関心のあるさまざまな方が集まり,湿地に関する勉強会のような形に発展してきました。
 
 きのうは午前中は学内と八竜湿地の見学会,午後は講演会と検討会,夜からは懇親会という流れで行われました。

 まずは見学会ですが,どうしたことでしょうか,しっかりとした雨になってしまいました(>_<)。それでも12名が参加して,小野先生がかつて存在したランドルフ記念講堂下の湿地の跡地や,湿地再生実験の現場を,続いて私よしだが八竜湿地をご案内しました。風もあってとても寒かったです。
小野先生が湿地再生実験を説明しています
 
私が八竜湿地を説明しています
  
 暖かい教室に戻り,午後からは講演会と検討会です。まずは小野先生のごあいさつから。
 
 講演会は,豊橋市の葦毛湿原で保全をされている贄(にえ)先生によるお話です。単に今ある湿地を守るだけでなく,森林化したかつての湿地部分の樹木を伐採し,土の中に埋もれた植物の種「埋土(まいど)種子」を活用して湿地を拡大する取り組みをされており,その手法など大変興味深いお話をしていただきました。
 
 このあと私も含めて地質調査の結果発表や,金城の湿地再生実験の途中経過について発表が続き,熱心な質疑応答もあって,あっという間に終了の時間となりました。
 
 そして大曽根まで移動して,およそ20名で懇親会が行われました (^_^)。残念ながらその写真はありませんが,湿地に関する専門的な話から,大学について,あるいは個々人の趣味(私は山登り,ですが)についてまで,お酒を酌み交わしながら懇談する本当に楽しい時間が,これまたあっという間に過ぎてしまいました。
 
 ところで,今回この研究会を立ち上げた小野先生と森勇一先生はともにご退職となり,八竜湿地研究会としても一応の一区切りとなってしまいます。しかし,せっかくこれだけの人たちが一堂に会して意見交換できる場ができたのですから,これで終わりとせず,むしろ湿地を研究する人たちが広く集う会へとさらに発展していったらと願っています