2016年8月30日火曜日

今年はズミが豊作

 みなさまこんにちは,よしだです。

 変な進路をたどっている台風10号が東北に接近中ですが,名古屋のあたりは台風に伴う雲が今日の未明に通過しました。ずっと雨が少ない状態が続いていたので,この雨でどうなったのか,様子を見てきました。

 が・・・ う~ん,全然でしたね。私が設置している流量測定装置でも,いかにも少ない流れしかなかったのですが,湿地の一部では相変わらず干からびたままです。
「・・・」
 
 例年,9月に大雨が観測されるので,それまでは湿地のいきものたちにとって厳しい状態が続くのかもしれません。

 一方で湿地には秋を感じさせるものがいくつもありました。下の写真はズミで,今年は実が豊作です\(◎o◎)/!
写真の中のつぶつぶは
みんなズミの実です
 
 ズミも実の多い・少ないの繰り返しをするのですが,ここまで多いのは初めて見た気がします。しかもこの個体だけではなく,他の個体もやっぱり多いのです。花を多くつけるタイミングは同調しているようで,不思議ですがうまくできているものだと感心してしまいます。
 

2016年8月24日水曜日

八竜湿地で調査

 みなさまこんにちは,よしだです。
 
 きのう (8月23日),八竜湿地で水質調査をしてきました。これは年に4回,2, 5, 8, 11月に定期的に行っているもので,名古屋市の環境科学調査センターと共同で実施しています。

 昨年8月の調査は猛烈な雨だったので,ずぶぬれになった苦い記憶がありますが (^_^;), 今年は晴れてくれました。ただ,ものすごく暑くて,大変なことに変わりはありませんでした (苦笑)。そしてここ最近,雨があまり降っていませんね。先週,島田湿地に行ったときに夕立のような雨があったものの,湿地を潤すほどではなく,全部で19地点ある採水ポイント中,7地点で枯れていたり,少なすぎたりして,水が採れませんでした
いつもは赤い部分に水が流れている場所ですが,
完全に干上がってしまっています
(>_<)
 
 採水とともに,現場で測定する項目がありますが,暑いのでなるべく日陰で・・・(苦笑)
 
 暑い暑い,と言っても,季節はちゃんとめぐっていて,シラタマホシクサの花の時期がやってきました。ちょっと涼しげな感じがしますね (^_^)

 調査は何かと大変ですが,このような調査を積み重ねていくことが,湿地を保全していく上でとても重要です。暑い・寒い関係なく,これからもずっと調査を続けていきます。
  

 

2016年8月22日月曜日

タラノキ

 みなさまこんにちは,よしだです。

 今回は最近見かけたタラノキを紹介します。タラノキというと,「たらの芽」として知られる山菜の代表選手のようなものですね。「山菜」とは言うものの,タラノキの分布は広く,山地に限らず平地でも生育しています。
 
 金城の里山にも,数は少ないですがタラノキはあって,今の時期は花が見頃です。小さな花をたくさんつけるのが特徴です。
線香花火みたい(笑)
 
 一方こちらは,今年発芽したばかりの若いタラノキです。タラノキは種子からの発芽だけでなく,根からの発芽もあるとのこと。このすぐ右に2mくらいに成長したタラノキがあるので,この若木は親木の根から発芽したものかもしれませんね。
 
 タラノキはトゲをもつ植物です。草食動物に食べられないための防御ですが,見るからに痛そうですね (>_<)

 タラノキは伐採や山火事の後など,日当たりが良くなるとよく出現する植物で,金城の里山ではアカメガシワやクサギなどもそれに該当します。植物によって場所の好みがある,というのを意識して森や木を見るのも楽しいですよ (^_^)
 

2016年8月19日金曜日

島田緑地で調査

 みなさまこんにちは,よしだです。
 
 暑い日が続いていますね。どんな天候であっても野外調査は必ず「お出かけ」しなければならないのですが,昨日は天白区の島田緑地に行ってきました
 
 晴れた日がずっと続いて,湿地の水量が最も少なくなっているだろう,という見込みで向かったのですが,ちょうど半分くらい車を走らせたあたりで・・・
猛烈な大雨・・・
(信号待ちの時に撮っています)
 
 怪しい空だな,とは思っていたのですが,間に合いませんでした(残念)。調査にはパソコンが必要ですが,大事なパソコンをずぶ濡れにさせるわけにいかないので,すぐに引き返してきました。
 
 幸い大雨は短時間で止み,午後からは日が射してきたのでもう一度向かい,今度はちゃんと調査とデータ回収ができました。暑さには参りそうでしたが (^_^;)
 
 しかし,空を見るとむくむくと入道雲が成長しているではありませんか! しかも雷鳴まできこえてきます。いつもなら調査の後は湿地のいきもの観察をしていくのですが,さっさと機材を片付けて車に乗せ,金城に戻ってきました (>_<)
 
 基本的に野外調査は楽しいものだと思っていますが,やはり自然には勝てませんので,それに従うしかありませんね。
 

2016年8月16日火曜日

三重県菰野町・桑名市の湿地でサンプリング

 みなさまこんにちは,よしだです。
 
 2週間ほど前の話になりますが,小野先生,森先生と私で三重県菰野町・桑名市の湿地でサンプリングをしてきました。5月20日に行ってきた犬山市の八曽湿地でのサンプリングなどと同様,珪藻と水質を同時に分析する研究の一環です。
 
 先に向かったのは菰野町にある田光 (たぴか) 湿地です。「たぴか」って,なんだかすてきな名前ですね。かなりの難読地名ですが,きっとおもしろい由来があるのでしょう。
 この湿地はシデコブシの群落があることから,2005年に天然記念物に指定されました。公開はされいないため,菰野町の担当の方から許可をいただき,サンプリングをしました。やや深い斜面を下りていくと,その斜面から水が湧きだしていて,表面を広く湿らせていました。
湿った斜面を下りていきます
 
 この日はとても暑く,湿地のように日光が直接当たる場所では汗が噴き出してきました。水質分析で汗は大敵なので,汗が混じらないよう顔や手をよく拭いて慎重にサンプリングしました。
 
 続いて訪れたのは桑名市にある「多度のイヌナシ自生地」です。イヌナシとは,愛知県・岐阜県でいう「マメナシ」のことで,ここには大きな群落があることで有名ですが,私は初めて訪れました。かつては釣り堀だったため池の上流に広がる谷筋にイヌナシが自生しています。
写真中央から奥が自生地です
 
 そしてこの自生地も天然記念物に指定されています。
 
 私たちは谷筋を歩き,最適と思われる場所3か所でサンプリングを行いました。

 ところで,田光湿地はシデコブシの群落地ではあるもののイヌナシ(マメナシ)は生育していません。多度はイヌナシの群落地ではあるもののシデコブシは生育していません。田光と多度はそんなに遠いわけでもなく,見た目の地形や,水の酸性度を測ってみても,それほど大きく違うわけではありません。なのになぜ植物が違うのか,不思議ですね。今回の分析ではそれを解明することはできませんが,面白いテーマだと思います。
 

2016年8月12日金曜日

8月のオープンキャンパス

 みなさまこんにちは,よしだです。
 
 山の日だったきのう,金城ではオープンキャンパスが行われました。KSCもブースを出して里山の紹介をしました。

 今回の紹介では,配布する竹炭がいつもより少なめだったため,敢えて「竹炭無料配布中!」とは言わず,関心を持っていただいた方にお配りすることにしました。なので初めのころは人も少なめでした
「・・・」
 
 しかしそれもつかの間,アンケートを出す方や,ランチ体験の方が増えてくると,ブースのあたりもにぎやかなになって,KSCブースに来られる方も増えてきました。金城の里山の紹介,生きものの説明など忙しくなり,お昼頃には準備した竹炭がすべてなくなりました。

 竹炭は金城の森で切り出した竹を使って,金城の中にある窯で焼いたもの,と説明すると,みなさんびっくりしておられました。それも無理もない話で,名古屋市内の大学でこんなことができるのは他にないですからね(笑)。

 森に囲まれていて,生物相が豊かで,いい環境の中で大学生活ができる。これは金城の大きな強みですし,今回多くの方にそれをお伝えできたと思います (^_^)
 

2016年8月10日水曜日

山の日

 みなさまこんにちは,よしだです。
 
 今年から8月11日が祝日「山の日」になりました。里山も間違いなく「山」ではあるのですが,今回は里山からちょっと離れて高い山について書こうと思います。

 今回紹介するのは南アルプス (赤石山脈) です。長野県・静岡県・山梨県が接し,3000m級の山々が連なる大きな山脈で,ここから発する水は天竜川・大井川・富士川といった日本でも屈指の大きな川となります。私は先日登ってきたのですが,天気がいいとこんなにスケールの大きな景色を楽しめます。
! \(◎o◎)/!
すてきっ!
 
 山で出会う自然は,森や高山植物だけではありません。山の地形,沢の流れといった地理学的なものもあれば,雲や星などの気象学・天文学的なものもあります。どれも山ならではの光景を見せてくれるのですが,全部は紹介しきれないので,今回は山で出会った鳥をご覧いただきましょう。
 
 まずはこの黒い鳥,ホシガラスです。カラスの仲間ですが,もちろん人が出したゴミに依存した生活をしているわけではなく,大好物は高山帯に生育するハイマツの実 (松ぼっくり)。ハイマツの種子の散布に大きな役割を演じていると言われています。
 
 岩の向こうにちょこんと顔を出しているのはイワヒバリ。あまり人を恐れないようで,高山帯では近くでよく見る鳥です。群れでいることも多く,なんだか楽しそうに遊んでいるようにも見えます。
かわいいですね~
 
 高山帯といえばこれですね。ライチョウです。近年個体数が減少し,絶滅が心配されている鳥です。特にこの南アルプスではその傾向が顕著で,保全活動も始まっています。写真は今年生まれたばかりの子ライチョウで,お花畑を歩き回ってえさを食べています。この写真にはありませんが,近くで親ライチョウが見守っています。
私の他に10人くらいが写真を撮っていました (笑)
 
 空を見上げると,猛禽類 (ワシ・タカの仲間) がよく飛んでいました。空中で静止して地上の様子をうかがい,獲物を探しています。
 
 ライチョウにとって猛禽類は恐ろしい天敵で,天気が良いときは猛禽類に見つからないよう,ハイマツの中に隠れ,霧や雨の時にハイマツから出てきてえさを取る,という行動が多いようです。

 でも上のライチョウの写真,明らかに天気が良いのにお花畑に出てきていますよね。ここは登山道のすぐ脇で,人が頻繁に通る場所。日本ではライチョウは「神の使い」とみなされ,神聖な存在とされてきたので,人は天敵ではありません。そして猛禽類は人がいるところにはやってきません。なので,登山道の近くではライチョウは落ち着いてえさを取ることができるのです。
 
 山の上の自然の営みは何もかもがすばらしいので,もちろん安全・環境に配慮しながら,ぜひともみなさんも山登りにチャレンジしてほしいと思います。きっとずっと心に残る経験ができるでしょう。
  

2016年8月3日水曜日

KSC全体会 (と猛禽類の飛来)

 みなさまこんにちは,よしだです。
 
 今回は昨日 (8/2) に行われたKSCの全体会についてお伝えします。試験期間中なのでいささかさみしい出席率 (苦笑) ですが,直近で行われるオープンキャンパスのことや,夏の風物詩である流しそうめん \(^o^)/! の日程決めなどをしました。

 今回の全体会も,N1棟3階のラーニングコモンズで開催しましたが,指定されたテーブルの後ろには・・・ 
すてき! (^^)
はい,後期も使わせていただきます!
 
 ところで,私が全体会に向かう時のこと,図書館前で上空の黒い影に気づきました

このあたりです
↓ 
上の白い雲の右上に黒い何かが・・・
 
 それはくるくると滑空しながらだんだん近づいてきました。種の同定はできませんでしたが,悠然と飛ぶ姿は,空の王者である猛禽類ならでは。狩りをしに金城の森へやってきたようです。
争いでもしたのか,羽が一部欠けています
 
 じつは猛禽類の飛来は,めったにないと言うほど珍しいことではありません (^_^)。猛禽類がやってくる自然が金城にはあるのです。自慢できるキャンパスですよ~!
  

2016年8月2日火曜日

五色園湿地の見学

 みなさまこんにちは,よしだです。

 しばらく間が開いてしまって申し訳ありません。今回はきのう (8/1) に訪問した五色園(ごしきえん)湿地について書きます。
 
 五色園とは日進市にある施設で,親鸞聖人の足跡を表現したコンクリート像が園内のあちこちに配置された公園です。本来の意味で「テーマパーク」ですね。像はコンクリート像作家として知られる浅野祥雲氏の作品なんだそうです。

 さて,そんなテーマパークの片隅に湿地があるのとのことで,最近ご縁のある日進市さんの計らいで見学をさせていただくことができました。江戸時代に造られたという農業用のため池の上流部にその湿地があり,その保全を行っている「生物多様性愛護会」の方に案内をしていただきました
大きなため池です
この上流に湿地があります
 
 この湿地,決して大規模なものではないのですが,湧水がしみ出して流れを作り,石混じりの土から植物がまばらに生えている状況から,直感的に「良好な環境が保たれている湿地」と感じました。つまり水量が確保されていることと,もう一つ,この地域の湿地で重要な「貧栄養の状態」が保たれているようです。

 愛護会の方によると,小規模にもかかわらず植物種は豊富なのだそうです。この日もミズギクやサギソウ,ホザキノミミカキグサなどの花を見ることができました。これらの植物を守るため,愛護会の方たちが湿地からその上部の森林まで手入れをしたり,毎日見回りを欠かさず行ったりしているとのことで,その熱意に頭が下がります。

 その湿地の上部には,五色園本来のスポットがあります。親鸞聖人のお田植えのシーンです。実はここも湧水があって,常にぬかるみ状になっているのです。湧水のある場所に適したテーマを配置しているのですね。 
草はイネではなく湿地性の植物ですが (笑)
 
 湿地やこの「お田植え」の場所には,定番?のハッチョウトンボが最近増えてきたそうです。トンボの種類も豊富で,今回ベニイトトンボを見ることができました。写真でお伝えできないのが残念ですが,トンボとは思えない,とても優雅な飛び方をするんですよ。

 この湿地は愛護会のみなさんと日進市さんとが協働して,保全だけでなく環境教育にも活用されているとのことで,環境に熱心な日進市さんの取り組みの一端を知ることができました。今回見学の機会を設けていただきましたみなさまに感謝いたします。