2015年5月28日木曜日

ひっつき虫

 みなさまこんにちは,よしだです。

 先日W1号棟 (旧W10号館) の南側に,特徴のある草がまとまって生えていることに気がつきました。それがこの写真・・・。
 樹木の区別はいくらかできても,草の名前をほとんど知らない私ですが,そんな私でも見ただけで

セリ科の植物である

ことがわかりました。なぜかというと,ニンジンの葉によく似ているから(笑)。 

 おもしろいのは先端部分で,すでに実がついています。よく見ると毛のようなものがついていますね。そう,
ひっつき虫!

 これと同じ形(紡錘状)で大きいものは「オナモミ」ですが,こちらは一つ一つは長さが 1 cm あるかないかのちっちゃなもの。調べてみたら

オヤブジラミ

という名前でした。藪に生えていて,この実の形が吸血昆虫の「シラミ」のようだ,ということで「ヤブジラミ」があり,それよりも実が大きいから「オヤブジラミ」のようです。
(ヤブジラミは6-7月ごろ花が咲くそうです)

 オヤブジラミが生えているのは人が通らない場所。この実を誰に運んでもらおうと思っているのでしょうか?
 

2015年5月23日土曜日

環水平アーク

 みなさまこんにちは,よしだです。

 昨日私は,調査で外に出ていたのですが,空を見上げると,うす雲が広がる太陽の周りに「日がさ」が丸くくっきりと現れていました。しばらくするとその日がさは少し薄くなり,一部が消えてゆき,代わってその下にほぼ水平の虹のようなものが現れました

それが
環水平アーク
です。このブログでも過去に何回か取り上げた気もしますが,今回きれいに見えたのでまた紹介します(笑)。
 
 最初控えめだった環水平アークは,まるで成長するかのように横に延びていき,しばらくするとこんなに大きくはっきりとしたものになりました。下の2枚の写真で,どこに環水平アークがあるか,もはや説明はいらないでしょう。

 こんなにきれいに見えるなんて! と,走らせていた車を駐車場に止めて写真を撮りました
 ネットニュースを見ると,東京あたりでも見えていたようですね。

 この環水平アーク,雲すなわち氷の結晶が静かにそろって浮かんでいるために,太陽の光が屈折して起こる現象です。物理学的な話,と言ってしまえば確かにそうなのですが,その結果「美しい」と感じてしまうものができあがるのですから,自然というのはちょっと不思議ですね。
 

2015年5月22日金曜日

KSC全体会

 みなさまこんにちは,よしだです。

 一週間前の話になってしまいますが,15日(金曜日)にKSCの全体会を行いました。場所はいつものラーニングコモンズです。
 今回KSCのメンバーとして,文学部の中川先生(写真中央)をお迎えすることになりました。中川先生は今年金城に赴任されたばかりですが,金城の豊かな森を気に入っていただけたとのこと。嬉しいですね。

 この全体会では,炭焼きやホタル観賞会,ハイキングなど盛りだくさんの?予定を決めました。楽しみがいっぱいですね!
 

2015年5月21日木曜日

ダイヤモンド伊吹

 みなさまこんにちは,よしだです。
 
 山を見て楽しむ方法の一つに,山頂に日の出または日の入りの太陽を重ねて写真を撮る,というものがあります。一番有名なのが「ダイヤモンド富士」と呼ばれる,富士山の山頂と太陽が重なるというもの。地上からは水平に見える山頂部に丸い太陽が乗っているように見えるのです。
 
 一方,北アルプスの槍ヶ岳は,まさに天を突くような鋭い「穂先」となっていて,ここに太陽を重ねると,まるで太陽を突き刺しているかのような写真となります。私はどちらの写真も撮っていませんが,「ダイヤモンド富士」「ダイヤモンド槍」で検索すると,美しい写真を見ることができます。
 
 さて,おととい19日(火)のこと。この日の学生実習が終わり,ふと窓の外を見ると,ランドルフ記念講堂が夕焼けで赤く染まっていました。きっといい日の入りが見えそう,と思い,ここ最近私は締め切りに追われて余裕のない状態なので,別の棟まで行き,気分転換に日没を見ることにしました。上空は風が強いのか雲が筋状に流され,美しい模様をつくっていました。
 
 まさに日が沈もうとしているところですが,それは伊吹山へと消えていくところでした。太陽の位置が頂上から少しずれて,ダイヤモンド富士のようにはいきませんでした。何日か早ければ太陽がちょうど頂上に沈んでいたはずですが,この時期はすっきりと山が見えること自体珍しいので,これはこれでよしとしましょう(笑)。
ダイヤモンド伊吹
(まずまずの,ですが・・・)
  
 その後もしばらく空を眺めていました。変わりゆく空の色が何とも言えずきれいですね。でもそれを引き立てているのはシルエットの伊吹山。いや,シルエットだからこそ伊吹山の美しい容姿が心に強く印象付けられる,ともいえそうです。

 いい景色に出会えて心が落ち着きました(^_^)。 
   

2015年5月14日木曜日

メジロの手間暇かけた巣

 みなさまこんにちは,よしだです。

 2週間ほど前のことになりますが,W8号館付近の道を歩いていたら,鳥の巣が落ちていることに気づき,拾ってきました。直径約 8 cm,高さ約 5 cmの小さな巣です。外周にはコケが張り付けられています。巣の中の温湿度変化を少なくするためでしょうか。あるいは木立の中で目立たなくするためでしょうか。
 
 中は空っぽで,羽などもなかったことから,作りかけの時に落ちてしまったのでしょう。中は一部ビニールひものようなものも絡まっていますが,基本的に植物のシュロの幹の表面にできる繊維を取ってきてきれいに丸く編み込んであります。
 
 この巣は,作りの特徴からおそらくメジロのものと思われます。親鳥はせっせとシュロの繊維を集めて形を作り,コケを集めて周りに張り付けたのでしょう。手間暇かかった巣に,メジロの懸命さを感じました
 

2015年5月11日月曜日

東京大学生態水文学研究所で研究集会

 みなさまこんにちは,よしだです。
 
 5月8日(金曜日),瀬戸市にある東京大学生態水文学研究所で,今年度の利用者研究集会・尾張東部丘陵自然環境研究者の会が開催されました。
 
 私がこの研究集会に参加するのはこれで4回目。
 
2014年
http://kinjosatoyama.blogspot.jp/2014/05/blog-post_10.html
 
2013年
http://kinjosatoyama.blogspot.jp/2013/05/blog-post_10.html
 
2012年
http://kinjosatoyama.blogspot.jp/2012/05/1.html
http://kinjosatoyama.blogspot.jp/2012/05/2.html
 
 今回金城からは他に小野先生とそのゼミの学生さん2名が参加しましたが,八竜湿地の地質調査でお世話になっている森先生も参加されました。今回は小野先生,森先生,私の3名がそれぞれ発表を行いました。
 
 例年通り,発表者はまず口頭で簡単な紹介を行います。小野先生がハッチョウトンボが記載された歴史について紹介しています。
 
 全員が紹介を終えて連絡事項が終わると,いよいよポスターセッションの始まりです。18題の発表について,50名近い参加者が見て回ります。会議室を利用した会場は早くも熱気を帯びてきました。
 
  私の発表の写真はありませんが,何名もの方が説明を求めてこられ,質疑応答をする中で有意義なコメントや提案をいただき,いい議論となりました
 
 ポスターセッションの後は希望者で懇親会となりました。お料理をいただきながら,いろいろな立場の方とお話しすることができ,勉強になった一日でした
 

 

2015年5月8日金曜日

大気中二酸化炭素濃度が400ppmに

 みなさまこんにちは,よしだです。

 昨日の新聞に,大気中の二酸化炭素濃度が初めて400 ppm を超えた,という記事がありました。この二酸化炭素濃度については,ちょっとした思い出があります。

 10年以上前,私が大学院の博士課程に在籍していた時のこと。
 酸性雨と同様,大気汚染物質から発生する酸性霧(さんせいぎり)が,樹木にどのような影響を及ぼすのかを私は研究していました。ビニールハウス内でモミの苗木を育て,自分で調製した酸性霧を噴霧し,光合成や蒸散の速度を測っていました。
当時の実験の様子です
ビニールハウス内にモミの苗木を
200本(!)育てていました。

 光合成や蒸散を測る,といっても「携帯型光合成蒸散測定装置」という便利な機械があるのです。「キュベット」と呼ばれる装置で葉をはさみ,本体から一定濃度の二酸化炭素を含む空気を送り込み,葉を通過した空気をまた本体に戻してその二酸化炭素濃度を測定します。濃度が低下した分が光合成で消費された二酸化炭素とみなすことができ,光合成の速度が計算できる,という仕組みです。

 余談ながらモミの木は針葉樹なので,このキュベットも針葉樹用のものが必要でした。あるとき不具合が起きて輸入代理店に電話し,「モデル番号は〇〇で,シリアル番号は・・・」と言おうとしたら,担当の方が

いえいえ,わかりますよ
その型のキュベットは日本に
一台しかないですから

それ以来とっても丁寧な扱いとなったのは言うまでもありません(苦笑)


 それはさておき,この装置をかつて使っていたという,当時すでに定年間際の先生が私の実験を見に来たことがありました。私が測定前の設定で二酸化炭素濃度を370 ppm と入力すると

今はそんなに高いのか!

ワシがむかし実験していたころは
300 ppmで測定していたのに!

 もちろん,大気中の二酸化炭素濃度が上昇傾向にあることは知っていました。しかし,この時の会話ほど「実感として」思ったことはありませんでした。

そして 400 ppm

あの会話から10年ちょっとでこれです。もし同じ場面があったら,今度は私が

僕がむかし実験していたころは・・・

と言うことになるでしょうね。これほど早い時間スケールでの変化が今後どうなっていくのかはわかりませんが,やはり気がかりです。
 
 

2015年5月7日木曜日

森は鳥たちのえさ場

 みなさまこんにちは,よしだです。

 ゴールデンウィークが明け,大学もまたいつものにぎやかさが戻ってきました。
 前回の記事では,センダイムシクイとコルリという少しめずらしい鳥について書きましたが,今回は逆に,いま金城の森で一番たくさん見られる鳥をまず紹介します。

 それはこの写真の鳥なのですが・・・
スズメです (笑)

 「なーんだ,スズメかよ」という声が聞こえてきそうですね。「スズメなんていつもいっぱいいるじゃないか・・・」とお思いの方もいるかもしれませんが,そもそもスズメは森にすむ鳥ではありません。むしろ人里に適応した鳥なのです。他の季節,例えば冬場などは,森の中でスズメを見ることはまずありません。

 それが好んで森にやってくる,というのは,何かお目当てがあるからなのですが,そのお目当てとは・・・
虫です (笑)

 金城の森はいま若葉が生い茂る季節となりました。そのやわらかな若葉を食べようと,いわゆる「いもむし」「毛虫」がたくさん発生し,その虫を狙って森にスズメがやってきたのです

 もちろん虫を狙っているのはスズメだけではありません。金城の森の住人,メジロもそうですし,

 これまた一年を通して金城の森で過ごすキツツキのコゲラは,お得意の木の幹の中も探って・・・

 ご覧のとおり大漁!
正面から見たらきっとドヤ顔でしょう(笑)

 鳥たちにとって虫は,子育ての時期の大切な食べ物であり,この森がたくさんの鳥たちを育んでいる,ということになりますね。
 

2015年5月5日火曜日

センダイムシクイとコルリ

 みなさまこんにちは,よしだです。
 
 きょうはこどもの日。長いお休みの中の一日ですが,私は週末の研究集会を控えているため,その準備で大学にやってきました。
 
 明るくさわやかな青空の下,新緑がまぶしい自然林は,人気がないぶんだけ鳥のさえずりがいつもよりにぎやかに感じました
 
 冬鳥がいなくなり,夏鳥に交代した森では,聞きなれない鳥の声を耳にすることも。今日は「チュビチュビズイー」と聞こえるさえずりが盛んに聞こえてきました。しかし木々の葉が茂ってきたため,なかなかその姿が見えません。しばらく粘って姿を探し,かろうじて撮れたのがこの写真。
全体像がつかめないうえ,ピンボケですが
これしかないのでご容赦を・・・<(_ _)>
 
くちばしと足がオレンジ色,腹は白くやや緑がかっていますね。調べてみたら
 
センダイムシクイ
 
でした。センダイと言っても,あの杜の都仙台とは関係ないそうですが,面白いのがこの鳥の聞きなし。上で「チュビチュビズイー」と書きましたが,これが
 
焼酎一杯ぐぃーっ (笑)
 
となるのです。かなり早口言葉にしないとそうは聞こえないような気もしますが(若干無理がある?),ユーモアのある聞きなしですね。
 
 ところで4日前の5月1日(金曜日),やはり出勤時にこれまた金城では初耳となる鳥のさえずりが聞こえてきました。「チッチッチッ・・・」と前置きがあってから「ピリョピリョ」とか「ツピピピピッ」とか,高い大きな声でいろいろな鳴き方をするのです。その鳥の名前が,この記事のタイトルにあるもう一つの

コルリ
です(残念ながらこちらは粘っても姿を全く見せてくれなかったので,写真はありません)。
 
 この鳴き声は以前から聞き覚えがありました。とは言っても,地下鉄名城線名古屋大学駅のホームのBGM?として,ですが(苦笑)。確か当駅開業当時からずっとおなじみの鳥の声ですが,どちらかというと実物は山の中の渓流沿いで聞こえるイメージがあるので,さわやかさの演出ということなのでしょうね。

 それが今回,名古屋で聞くことのできてちょっとびっくり。市内でも観察例はあるので,それなりにはいるようですが,ささやかながらもうれしい発見となりました (^o^)
 

2015年5月1日金曜日

春の訪れを告げる常念坊

 みなさまこんにちは,よしだです。

 きょうから5月。金城の森では落葉樹の葉が出そろい,咲きはじめたシイやニセアカシアの花に春らしさを感じますが,場所が変わると全く違った春の感じ方がある,というお話をしましょう。

 前回,私の恩師である廣田満先生の最終講義に出席したことを書きましたが,その翌日私は松本まで足を延ばしました。学生時代の最初の一年を過ごした松本は,北アルプスを望む美しい街で,今でも大好きです (^o^)

 さっそく市街地東側の弘法山古墳に上がり,景色を展望してきました。市街地の向こうにそびえて立つアルプスは,いかにも松本らしい風景です。
 中央のどっしりとした三角形の山が常念岳(じょうねんだけ,2857m)で,常念岳から画面左端へ3分の2進んだあたりに,ちょこんと犬歯のように出ているとがったピークが槍ヶ岳(3180 m)です。

 松本から見るアルプスの中で,この三角形はもっとも目を引くはずです。常念岳は深田久弥の「日本百名山」でも取り上げられ,松本方面から見たこの山の美しさについて述べられています。

 しかし,今回ちょっと意外だったのは,この時期にしては残雪が少なかったこと。山頂部分もかなり黒くなっています。
 
 いつもならもっと白く,この時期は向かって右側の斜面,下の写真の赤丸付近に,「常念坊」と呼ばれる雪形が,残雪の中に黒く浮き上がる頃のはずですが,すでに常念坊は崩れてしまっていました。
 山国の春の風物詩としてこれを楽しみにしていたので,ちょっと残念でした。雪形がきれいに出る時期は短く,年によって早い・遅いがあるので,いい時期にあたるのは難しいのですが・・・。今年はそれだけ春の訪れが早い,ということなのでしょう。

 下の写真は,2011年3月下旬,松本市の北にある安曇野市から見た常念岳
 角度が変わって,ここからは正面に「常念坊」が見えるのですが,この時はまだ雪が多く,きれいな雪形になる前の状態です。それでも左に向かって歩くお坊さんが手にとっくりを持つ姿を,なんとなくイメージできるのではないでしょうか。
(この段階ではまだお坊さんととっくりがつながっていませんが)

 「雪が融けると何になる?」と先生が聞いたら,「春になる」と答えたこどもの話をよく聞きますが,このような景色を毎日見ていたら,「春になる」という答えはごく自然に出てくるのかもしれませんね。