2013年8月30日金曜日

日本食品化学学会で里山を紹介

 みなさまこんにちは、よしだです。

 金城では昨日・今日と日本食品化学学会が開催されました。私もその実行委員の一人として準備から運営まで関わり、忙しい中にもいい経験ができました。
会場はたくさんの方でにぎわっています

ところでこの私,

あれっ? 里山担当なのに食品化学?

と思った人がいるかもしれませんね。でも実は、私の卒業論文は有機合成化学、修士論文は天然物化学で、もともとは化学とか分析を専門にしていたのでした。なので食品化学というのも決して未知の世界ではないのです。

 それはさておき、せっかく今回金城で学会を行うのだから、ということで金城の里山を紹介することになりました。ちょうどポスター発表で一題キャンセルが出て,ポスターのボードの空きが出たこともあって・・・
立派なポスター発表風に仕上げました!

学会には金城にはじめて来られた方も多数で、「緑が多くていい環境ですね」といった感想も聞かれました。いろいろな方に関心を持ってもらい嬉しく思います。
里山の説明をしています
(この写真はまつやま先生に撮っていただきました)
 
里山の紹介をご了承していただいた学会運営委員の皆様方に感謝します!
  

2013年8月28日水曜日

流量調査装置の補修

 みなさまこんにちは,よしだです。

 このところ、週末の雨を機にすこし暑さが和らいできました。今回はその雨の日曜日に行った,八竜湿地の流量調査の装置の補修についてお話ししましょう。

 この日は共同研究をしている信州大の福山先生が金城に来られ,資材一式を持って一緒に湿地へと向かいました。雨の中歩くことは,山登りをしていれば一定の確率で起こるので,それほど苦ではないのですが,やはり正直萎えますね(苦笑)

 一番苦労するのは,パソコンを濡らさないようにすること。水位計は自動計測ですが,水位を何分おきに測るのかといった測定の指示や,データの回収は全部パソコンをつないで行います。人間はどれだけ濡れてもパソコンを決して濡らしてはならない,という強い覚悟(?)が作業には必要です。下の写真は,福山先生が雨の中,流量を実測している様子ですが,写真には写っていないものの,私は傘で必死にパソコンを守っています!
パソコンに傘をさしているので,私の背中はずぶぬれです(泣) 

 そしてもう一つ,今回福山先生が用意してくださったのが下の写真のコンクリート板。ザリガニ対策で,穴をあけられないようにしようというものです。
「臭いものにはフタ」,ならぬ,
「ザリガニにはフタ」でございます(笑)

  このように,実験にはデータの数字には表れない苦労があるというものです。このあと水位計で得られたデータを確認してみると,八竜湿地の雨と湧き水の関係が大まかにつかめてきました。現在,福山先生に詳細な解析をしていただいており,その結果が楽しみです。
 

2013年8月26日月曜日

「トヨタの森」のみなさまが見学に来られました

 みなさまこんにちは,よしだです。
 
 猛暑から一転して涼しささえ感じた今日,「トヨタの森」のスタッフのみなさまが金城の里山の見学に来られました。トヨタの森とは,トヨタ自動車が所有する豊田市内の森林を里山として整備したもので,体験プログラムなどの環境学習の拠点としているのだそうです。
 
「トヨタの森」についてはこちら!
http://www.toyota.co.jp/jpn/sustainability/social_contribution/environment/forest_of_toyota/index.html

 本日お越しになったのは,自然のことを人に紹介し伝える,自然の仲介者「インタープリター」の伊吹さん,原田さん,杉山さんの3名です「何も言わなくても『自然か好き』というのが伝わってくる素敵な人たち」というのが第一印象でした。

 最初にごあいさつと金城の里山の説明をし,午前中は八竜湿地を見学していただきました。豊田市内には,昨年ラムサール条約に登録された湿地があるのですが,八竜湿地はそれらと同じタイプである湧水湿地で,同じような希少種が生育しています。それもあってか,みなさん動植物のことをよく御存じで,むしろ教えていただくことの方が多かったり・・・(苦笑) 
 
 ちょうど花の少ない今の時期,目に留まったのがこちらの「ミズギボウシ」でした。これも名前を教えていただいたものの一つですが,八竜湿地で咲いているのをこれまで見たことがありませんでした。

 お昼の後は学内の自然林の見学となりました。遊歩道にはドット柄(!)のマツの幹が。これは弱ったマツに侵入して枯らし,分解していく「ヒトクチタケ」なのだそうです。
 
 なぜ「ヒトクチタケ」という名前なのかというと,下から見ると口が一つ開いているから。なるほど,面白いですね!
 
 W8号館付近では,トヨタの森のみなさんが斜面とにらめっこしていました。
 斜面に穴を掘って入口に扉を作り,獲物が来たら扉を開いて捕まえるクモ「カネコトタテグモ」を探しているのです。クモなのに糸を張って巣を作らないなんて! 残念ながら穴は見つかりませんでしたが,トヨタの森 森からのお手紙ブログの中にその写真 ↓ があるのでご覧ください。
http://gazoo.com/my/sites/0001452279/forest_of_toyota/Lists/Posts/Post.aspx?ID=73

 自然林とともに炭焼き小屋もご覧いただきました。
トヨタの森にも炭焼き窯があり,しかも人が入れるくらい大きい(!)そうです
 
 今回見学に来られた皆さんはほんとうに熱心に見学され,私にとって良い勉強になりました。ありがとうございました。
 金城の里山をよりよくするために,この地域の自然をよりよくするために,今度は私たちがトヨタの森を見学させていただきたいと思っています。
 

2013年8月23日金曜日

猛暑の湿地調査

 みなさまこんにちは,よしだです。

 私は昨日 (22日) 三重県鈴鹿市・四日市市の湿地へ,毎月一回行っている水質調査に出かけました。名古屋と同様こちらでもしばらく雨が降っていないようで,湿地の一部はこんな感じに・・・
干上がっています(汗)
 
 この調査では,鈴鹿市・四日市市の2市3湿地で合わせて18ヶ所のサンプリング地点を設けていますが,今回そのうち5ヶ所では水を得ることができませんでした。

 ところでこの日の名古屋の最高気温は38度越えでしたが,こちらもとにかく暑かったです。数歩歩くだけで汗だくに・・・。
 この暑さ,暑いだけならともかく,汗が止まらないのが意外に厄介なのです。というのも,
サンプルにもし汗が入ったら,
そのサンプルは分析に使えなくなるから 

です。業界用語(?)でこれを「コンタミ」といいます。真夏のフィールドワークも大変です!

 さて,以前ノリウツギの装飾花について書きましたが,そのノリウツギの普通花も今回たくさん咲いていました。
真ん中に集まっている小さな花が「普通花」です
 
 シラタマホシクサの群落地では,その名の通り「白い玉の」花芽が目を引きました。まだつぼみの状態でおまんじゅうのような形ですが,球状の花が咲くまでもう少しですね! 

 昨年から始まった鈴鹿市・四日市市の毎月の水質調査は今回が最後です。一年を通して調査したことで,季節変化や水質の特徴を明らかにできると思います。これから残りの分析を進め,データを取りまとめてそれぞれの市に報告することにしています。
 

2013年8月20日火曜日

白いクサギの花

 みなさまこんにちは,よしだです。

 まだまだ夏の勢いが収まりそうになく,金城の里山も,季節の移り変わりを感じさせるものがあまり見当たりません(つまりブログネタに乏しい,ということです)。

 さて,以前クサギのつぼみの話をしましたが,あの時まっ白だったつぼみからどんな色の花が咲いたかというと・・・
白い花でした!

「なんだ,当たり前じゃん」って,誰もが言いたいことでしょう。でもまだ咲いていないつぼみをよく見てください。ほんのりピンク色なのです。色の変化は思ったほど単純じゃないんですよね。そこがいきものの不思議さ,奥の深さです。

 これがなぜなのか?どんな理由でそんな色の変化をつけているのか? 私は答えることができません。ただ,身の回りのいきもの・自然に対して「不思議だな?」と思う気持ちを持ち続けると,きっといつか,何か発見があるのだと私は思っています。
 

2013年8月17日土曜日

オープンキャンパス

 みなさまこんにちは,よしだです。

 きょう大学では,今年3回目のオープンキャンパスが行われました。前回7月14日の時と同じく,今回もKSCではブースを出して金城の里山の紹介をしました。
準備完了です!

 今回もまた竹炭を300袋ほど用意して配布したのですが,大変関心を持ってもらえて,どんどんなくなっていきました。 午前中には早くも完売(!)です。
大学で焼いた竹炭で~す

中には,

「金城にはこのような自然を勉強できる学部はありますか?」

とか

「金城に入ったらKSCに入りたい」

という声もあって,関心の高さにうれしい限りでした。

*今回使用した写真は木村さん,まつやま先生に撮っていただきました。ありがとうございました。
 

2013年8月12日月曜日

今日の流量調査

 みなさまこんにちは,よしだです。

 大学は夏期休暇に入りましたが,私は植物の世話と湿地で行っている流量調査の装置の確認のために出勤してきました。

 今日もまた名古屋はうだるような暑さでしたが、装置は森の中にあり、水の流れもあって、いくぶん涼しく過ごしやすいです(虫よけスプレーで蚊の襲来を予防しておく必要はありますが)。バサバサ音がするので下流側に目をやると、キジバトが水浴びに来ていました。
夏でも羽毛を着ているので、暑いでしょうね~(笑)

 装置自体はちゃんと動いていることを確認し、データの補正ができるよう、手作業での流量測定も行って作業完了! ところが、片付けをしている時に水中を動くものが・・・

来たな!ザリガニめっ!
(まだ敵意をもってます)
 実はこんなこともあろうかと、装置の確認用の資材やパソコンにとともに、ザリガニ釣り用の「例の」いかのくん製とタコ糸を今回持ってきていたのです。それでここからザリガニ釣りが始まるわけですが、どういうわけか今回はなかなかうまくいきません。上の写真のザリガニも捕獲できず、かなりねばったのに体長5 cm にも満たない小さなザリガニが一匹捕まっただけ(泣)。

 なので今後、装置の付近にザリガニを捕まえる「わな」を設置しようと考えています。装置の平和と安全を守る戦いはまだまだ続きます(苦笑)。
 

2013年8月7日水曜日

豊作のゴーヤ

 みなさまこんにちは,よしだです。

 毎日暑いですね。大学では今年もW4号館にゴーヤを使った緑のカーテンをやっています。今年は去年に比べて成長が良く,しっかりとした緑の影を作っています。

 見上げるとたくさんの黄色の花が咲いています。ゴーヤはきゅうりと同じで,ゴーヤが実るメスの花と,花粉を作るオスの花の2種類の花が咲きます。

 ゴーヤの実り具合も良いようで,今年はこれまでもたくさん収穫できたそうですが,小野先生いわく,まだまだ採りきれないとのことなので,私もいただくことにしました。
 
 大きい実だけ選んでも20個も採れました! 色も良くおいしそうですね。みんなで分けていただくことにします。
小野先生,ありがとうございました!
 
 

2013年8月5日月曜日

アメリカザリガニの捕獲

 みなさまこんにちは,よしだです。

 私の流量調査の研究がアメリカザリガニによって台無し(*)にされた恨みを晴らすため・・・というのは冗談ですが,やはりアメリカザリガニは湿地の生物にとって好ましい存在ではない外来種ですので,数を減らすことは重要で,昨日(4日)に捕獲をしてきました。

*研究が台無し」というのもウソで(すみません・・・),データを確認したところ,たまたま装置のデータ保存が止まっていた時にザリガニが穴を開けていたので,被害は実質ゼロでした。

 それはともかく,私が一人黙々と捕獲してきてもいいのですが,こどもにとってはザリガニ釣りはとても面白い遊びであり,しかも遊びを通して外来種の問題も勉強できる,とてもいい教材です。本学の山村先生のお子さんが関心を持ってくれたので,先生とお子さん,私の3人でザリガニ釣りをしてきました。

 釣りをしているときの写真を撮り忘れた不謹慎ながら,大人も夢中になるくらい楽しいです!ので,いきなり結果の写真になってしまいますが,1時間ほどがんばって3人で13匹のアメリカザリガニを捕獲しました。

 今回どうやって釣ったかというと,こちら!!!
お酒のお伴ですね(笑)

 いかのくん製をタコ糸にしばって湿地の水たまりに沈めるだけ。においに敏感なアメリカザリガニは、いかのくん製の強いにおいですぐに集まって、夢中で食べようとするので、そのスキに引き上げれば釣れるのです。

 W10号館に戻ってくると、エスカレーターの下のあたりに人だかりができていました。薬学部の大原先生がアメリカ人の先生からいただいたという、「世界一臭い食べ物」とさえいわれるスウェーデン名物(?)シュールストレミングの大試食会(!)が行われていたのでした。もともとニシンの塩漬けなんですが、缶詰の中で発酵(というよりも腐敗・・・)が進むので、その臭さと言ったらもう・・・(絶句)
 
ネットでは臭いまで伝わらなくて何よりです(苦笑)

 これに似た臭いのするものと言えば日本の「くさや」でしょう。そう思ってアメリカザリガニのえさに使ったいかのくん製の袋の裏を何気なく見てみたら・・・

!!!!!

 どうりでこのくん製も匂うはずです! ということは、シュールストレミングでもザリガニが釣れる、ってことですね。勇気のある人は試してみてください!!!
 
 

2013年8月2日金曜日

アメリカザリガニのいたずら?

 みなさまこんにちは,よしだです。

 きょうは八竜湿地で行っている流量調査の装置の確認に行ってきました。きのうの朝までまとまった雨が降ったので,水の流れが充分あったのですが,遠目に見て装置の様子がなんか変です。
 
あれっ? 水がたまっていない???

 堰(木の板で作った小さなダム)が流されたのか??? と焦りつつ森の木々をかき分けて現場に急行すると,装置は全く異常がなく一安心でした。しかし水はやっぱりたまっていません。下の写真で,写真右下(上流)から左上(下流)へ,水がちゃんと流れているのに,水位は三角形の切り欠きの下という不思議な状態になっていました。
 
  原因は堰(木の板)の右側手前に見える穴でした。その部分を拡大したのが下の写真です。ちょうど日の当たっている部分の真ん中にぽっかり穴が開いていますね。ここから水が抜けて堰の下流側へ流れ出していたのです。まるでお風呂の栓のようにぐるぐるうずを巻きながら・・・(泣)

 穴の中に手を突っ込んでみると,中で少なくとも二本に流路が分かれ,下流の出口付近でまた一本に収束していることがわかりました。こんな手の込んだ穴をあけるのはアメリカザリガニの仕業に違いありません。

「こっちはまじめに研究してるんだぞ!!!」
 
と,思わずため息が一つや二つ出てしまいます。

 ちなみにこの流量調査で共同研究をしている信州大の福山先生によれば,山奥ではサワガニがよく穴を掘って漏水させるとのこと。 自然を相手にした調査というのは,想定外のことがいろいろと起こって大変だ,ということですね!

 もちろんこの後,泥や小石を使ってこの穴をしっかりふさぎ,ようやくちゃんとしたデータが取れるようになりました(めでたし,めでたし)。そして,調査を始めてしばらくしたら,小さな魚が現れました(ごめんなさい,写真がありません)。そしてカエルも。

  どちらも名前がわからないので詳しいことは何も書けないのですが,アメリカザリガニに対する敵意で心を乱していた(←おおげさ)だけに,小さな生きものたちの登場に心が和みました(めでたし,めでたし)。
 

2013年8月1日木曜日

伊吹山へ山登り (2)

 みなさまこんにちは,よしだです。

 今回は伊吹山に登った時に撮った生きものの写真を見ていただくことにしましょう。
 伊吹山は冬の積雪が多いこと,部分的に石灰質の地質を含むことなどから,高山植物など豊かな植物相を有していることで有名です。また,織田信長が海外から持ち込んだ植物を植えて薬草園を開設したことでも知られます。今回登ったのが,夏真っ盛りの時期であったにもかかわらず,頂上では色とりどりの花が咲き誇っていました。

 まずは葉っぱ見ていただきましょう。これはヨモギです。お灸のもぐさはこのヨモギの葉の裏にある毛を採取して集めたものです。そう,伊吹山はお灸でも有名ですね。

 ここからはお花です。下の繊細な花は高山植物の「タカネナデシコ」によく似ていますが,これはその低地型である「カワラナデシコ」なのだそうです(難しい・・・)

 これも高山植物の「ハクサンフウロ」によく似ていますが,伊吹山には変種の関係にある「ハクサンフウロ」「エゾフウロ」,そして「イブキフウロ」というのも生育していて,花びらの形から「イブキ」ではないと思うものの,「エゾ」なのか「ハクサン」なのかはちょっとわかりません(難しい・・・)

 こちらはだれが見てもユリの仲間だとわかりますね(ユリ科ユリ属です)。しかしこれも曲者で,「オニユリ」なのか「コオニユリ」なのか区別できません(苦笑)。コオニユリは一般に湿地周辺に生育するそうなので,比較的乾燥していそうな場所に生育していたこのユリは「オニユリ」かな?と思っています(難しい・・・)

 小さな白い花をたくさん咲かせているこの植物はオオバギボウシです。高山植物ではおなじみで,食用できるので栽培されることもあるのだとか。

 最後の写真は花とチョウです。花は「イブキトラノオ」です。トラノオ=虎の尾ですが,虎らしくない白くて繊細な花ですね。「イブキ」とついていますが伊吹山の特産種ではなく,広く分布しているものの,伊吹山に多く自生しているからその名がついたそうです。
 そしてチョウは「アサギマダラ」です。渡り鳥ならぬ渡りチョウで,例えば本州から沖縄や台湾へと移動することがわかっています。「アサギ」とは聞き慣れない名前ですが,日本古来の色の名前の一つで,薄いあい色を指します。羽の中央の青みを帯びた色が「あさぎいろ」なので,この名前がつきました。珍しいチョウに出会えて感激です!

 山登りはちょっとつらかったですが,これら以外にもたくさんの花が咲いていて,ほんとうに楽しかったです!