2013年4月30日火曜日

ナワシログミとアキグミ

 みなさまこんにちは,よしだです。

 ここ最近何度か八竜湿地に行っていますが,この春の時期であっても木の実を見つけることができます。その中で目立つのが下の写真の「ナワシログミ」です。グミといってもお菓子のグミキャンディーとは全く関係はないのですが,この実も熟すと食べることができます。
ところでナワシログミの「ナワシロ」とは,漢字で書くと「苗代」です。稲の苗床の意味ですが,ちょうど稲作で苗床をつくる頃に実をつけるからナワシログミと名付けられました。

 最近雪崩による遭難事故でニュースでよく取り上げられる北アルプスの白馬岳(しろうまだけ)も,もともとは稲作の代かきをする頃,山腹に馬の形の雪形が現れることから「代かき馬」→「代馬」→「白馬(しろうま)」と変化し,地元の村の名前はさらに音読みに変化して白馬村(はくばむら)となった経緯があります。「長野県白馬(はくば)村の白馬(しろうま)岳」という表現に違和感を覚えた人もいたかもしれませんが,これが正しい読み方です。このように日本の稲作の時期が自然の営みと強く結び付いている例はいろいろあるのです。

 少々話がそれましたが,同じグミでも,いま花を咲かせているものがあります。
こちらは春に花を咲かせて秋に実をつける「アキグミ」です。同じグミでもちょうど半年ずれて開花と結実を繰り返します。おもしろいですね。八竜湿地ではナワシログミとアキグミの見ることができます。
 

2013年4月27日土曜日

文四郎池にカワセミが飛来

 みなさまこんにちは,よしだです。

 昨日学内を歩いていたところ,文四郎池にカワセミがいるのを見つけました。木の枝に止まって水中の魚を狙っていたのでしょうか。すぐにどこかに飛んで行ってしまいましたが,この池でカワセミを見るのは初めてでした。

 そもそも文四郎池と言っても,馴染みのない人が多いかもしれませんね。大学の第三駐車場からW10号館方面へ向かう道沿いにある池,あるいは金城学院幼稚園の横にある池,と言えばわかる人もいるでしょう。

 カワセミはもともとは山間部の渓流にしか生息しない鳥でしたが,最近は都市部に進出(復活?)していることが確認されています。そうはいってもなかなか見られる鳥ではなく,大学内のこじんまりとした池にカワセミがやってくるというのはすごいことです。

残念ながらきのうはカメラを持っておらず,写真が撮れなかったので,代わりに私の調査地である鈴鹿市の湿地で撮ったカワセミをご覧いただきましょう。ヒスイのような美しい色ですね。また見られることを期待しましょう。
 

2013年4月26日金曜日

KSCでたけのこ掘り

 みなさまこんにちは,よしだです。

 金城の里山を見守る私たちKSCに課せられたミッションの一つが,里山に生えている竹(モウソウチク)の繁殖拡大を抑制すること。そのために日ごろから竹を使って炭焼きをしていますが,今の時期は,効果的にその任務を果たすべく,生えてきたたけのこを除去を行っています。
 
・・・って,たけのこを掘りたい(食べたい)からやっているんでしょ? といううわさもありますがそれは内緒で(笑)。

 というわけで(どういうわけで?)今日は予定通りKSCでたけのこ掘りをしました。一時的に風雨が強くなる荒れた天気となったものの,たけのこ掘りが始まるころにはほぼ止みました。今回は学生さん5名と教職員7名でいざ竹林へ! 以下学生さんの勇姿(?)をご覧ください。
 
今回はまだ時期が早かったようで,全体として小ぶりで,
あまり見つかりませんでした。それでも数少ない
たけのこをさがしていきます。
 
 
見つけたらまわりの土を取り除いていきます。
 
 
場所が急斜面なので,足場をしっかり固めて掘っていきます。
 
 
たけのこ全体が見えてきたら・・・
 
  
根元をグサッと一発! これで獲れました!

 学生さんのほとんどがたけのこ掘りは初めて,とのことでしたが,みなさんたけのこ掘りの面白さにはまってしまったようです(笑)。今日も楽しく里山保全ができました。

 たけのこは春の味覚の一つ。私がお昼にいつも利用する食堂(リリーイースト)でもたけのこを使った季節のおかずを最近よく見かけます。そういえば,あれももしかして金城のたけのこ???
 

2013年4月24日水曜日

マルバアオダモの花

 みなさまこんにちは,よしだです。

 きょうは薬学部の先生方と学生さん合わせて約20名と共に湿地見学に行ってきました。特に学生さんはほとんどが湿地に行くのは初めてとのことで,大学のすぐ横にこんな自然があることに驚いているようでした。

 きょうの湿地見学では,湿地の真ん中に咲く花を見ることができました。マルバアオダモです。

 マルバという名前がついていますが,むしろ細長い葉をしています。ではなぜ「マルバ」なのかというと,ご本家の「アオダモ」がギザギザの葉をしているのに対して,ギザギザがない,という意味だそうです。ちなみに「アオダモ」といえば,材が粘り強く,野球のバットの材料になる木ということをご存知の方もいることでしょう。
 花をアップにしてみました。房のような細かい花の集合体です。雪が積もったような花を咲かせるヒトツバタゴ(別名ナンジャモンジャ)という東海地方に隔離分布している樹木がありますが,マルバアオダモはそれと同じモクセイ科であり,こちらも雪をかぶったような花と形容できますね。
 

2013年4月20日土曜日

「八竜湿地研究会」発足!

 みなさまこんにちは,よしだです。

 きょうは「八竜湿地研究会」の初会合がありました。この研究会は,八竜湿地で地質調査を行い,湿地が過去どのような環境のもとに形成されてきたのかを明らかにすることを目的として,土壌調査,年代測定,地層中の昆虫・珪藻・花粉の古生物分析,理化学分析などを専門とする先生方とともに,金城からは小野先生とそのゼミ生の学生さん,そして私も加わり,2年間の予定で結成された研究プロジェクトです。

 今日は初めての会合ということで,午前中は現地調査から始まりました。八竜湿地では主に現地を見ながら地質調査に適する場所の確認を行いました。

 ここは湿地から少し高いところにあるトウカイコモウセンゴケの生育地です。湿地環境がどのように生まれたのかを見るにはとてもよい場所です。

 午後からはW9号館の演習室で小野先生・森先生・私が順に八竜湿地に関するプレゼンテーションを行い,今後の研究の進め方について議論しました。
 この研究プロジェクトでどんな結果が得られるのか,とにかくやってみないとわからない,というのが正直なところですが,これだけの強力なメンバーがそろっていますので,湿地について様々な情報が得られることは間違いありません。貴重な湿地を持つ金城の強みを生かし,プロジェクトで湿地の謎の解明を進めていきます。

2013年4月19日金曜日

新しいメンバーが加わりました!

 みなさまこんにちは,よしだです。

 今日はお昼休みの時間に今年度初めてのKSC全体会を行いました。この全体会は月に一度メンバーが集まって,これからの予定を決めたりする打合せです。
  今回は嬉しいことに新しいメンバーが加わったので,まずは自己紹介から始まりました。私の場合は「ブログ係のよしだ」ですね。

 今後の予定としては,炭焼きとか,里山林の伐採とか,ホタルの観察などが候補に挙がりました。いずれも金城だからこそできるものばかり。「おもしろそう」と思ったらぜひKSCメンバーの友達や,生物学の小野先生などの先生方に声をかけてください。いつでもKSCメンバーになれますよ!
 

2013年4月17日水曜日

コナラの花に集まる鳥たち

 みなさまこんにちは,よしだです。

 前回のブログで,金城の森のコナラやアベマキが花盛り,という話をしましたね。これらの花は風媒花と言って,風で花粉を飛ばすので鳥や虫に来てもらう必要がなく,それゆえ花の色が緑色で目立たないのです。では鳥などが全く来ないのかというと,そうでもありません。

 まずは下の写真,雄花をついばんでいるのはヒヨドリです。都市部にすっかりなじんだ鳥の一つですが,この花も好物のようです。

 こちらの鳥はちょっと珍しいですね。「イカル」です。以前は山間部に行かないと見られない鳥だったように思うのですが,最近は都市部に進出しているのか,先日名城公園でもさえずりを聞きました。とても美しい声で歌うようにさえずる鳥です。

 雄花の何がお好みなのか分かりませんが,ずいぶんお気に入りのようです。
金城の森でちょっと耳を傾けてみると,イカルの鳴き声が聞こえてくるかもしれませんよ。

2013年4月15日月曜日

金城の森は花まっ盛り!

 みなさまこんにちは,よしだです。

 きょうはまず大学の森のようすから見てみましょう。お手軽に私のいる実験室の窓の風景ですが(笑),ご覧のとおり金城の森は花まっ盛りです!
 
ご覧のとおり???花まっ盛り???
「これで?」とか「写真間違えてない?」 とかの声が聞こえてきそうですが・・・。

 でもウソではありません。緑の部分を拡大してみましょう。
ふさ状に何か垂れ下がっていますね。これは雄花です。
 ということで,雄花があれば雌花もあるはず・・・。
  はい,こちらです。枝の真ん中に赤い点のようなものが雌花です。雄花から飛んできた花粉がここにつくとやがて実がなります。その実とはいわゆるどんぐりで,この花の正体はコナラやアベマキなのです。

 最初に「金城の森は花まっ盛り」と書きましたが,コナラやアベマキは金城の森の主役。色が緑で目立たず,においもないですが,間違いなく花まっ盛りですよ。
 

2013年4月13日土曜日

コゲラの巣作り

 みなさまこんにちは,よしだです。

 最近は花の話題をこのブログで取り上げることが時節柄多かったですが,きょうは鳥の話題です。まずは写真をご覧ください。金城の森でこんなものを見つけました。
 コナラの幹に開けられた穴です。奥の2本の幹は生きていますが,この幹は穴のすぐ上で折れていて,既に枯れています。穴の大きさは 5 cm くらいでしょうか。 ごく最近開けられたようです。

 穴の主がやってきました。コゲラです。このブログでは何度も登場している,日本で最も小さなキツツキです。
なぜかカメラ目線です(笑)
 
 親鳥は穴の中に入ってずっとコンコンと巣作りをしていました。子育てのために親は大変ですが,このように枯れた木も生き物の世界では重要な役割があるのです。
 

2013年4月12日金曜日

ガマズミの花

 みなさまこんにちは,よしだです。

 今日もまた花の話題です。ここ最近の花といえばサクラに始まってコバノミツバツツジ,マメナシといった割と華やかなものが多く,それらに比べるとおとなしいですが,ちょうど見頃になってきたのがこのガマズミです。大学の森の中にもあちこち自生していますが,これも里山的な環境を好む植物と言っていいでしょう。
 花の白い塊がよく目立ちますが,これらは小さな花の集合体です。一つ一つは小さくても,固まって咲かせることによって花をアピールしているようです。若葉の黄緑色の中のほぼ純白という色の取り合わせも目立つ要因かもしれません。
  この花は,秋になると食べることができる実がなります。でも実は白ではなく赤色。色は変わっても目立たせることは上手なようですね。

2013年4月11日木曜日

みんなで湿地見学

 みなさまこんにちは,よしだです。

 ここ最近少し肌寒い日が続いていますが、ポカポカと昼の太陽の暖かさが感じられた今週月曜日、研究室の学生さん・薬学部の新任の先生方と一緒に八竜湿地の見学に行ってきました。週末心配していた強風や大雨もなく、コバノミツバツツジが落葉樹の森を、去年よりもたくさんのハルリンドウが湿地を彩っていました。ほとんどのみなさんは湿地に来たのが初めてで、森や湿地の自然に「癒される~」の声が。そうですね、すばらしい自然はほんとに心が和みます。

 さて下の写真はそんな見学でのひとこま。学生さんがしゃがんで熱心に見ているのは…

 赤い食虫植物、トウカイコモウセンゴケです。食虫植物ってちょっと不思議な存在で,みなさんの興味を引くのもうなづけます。この植物は冬でもこんな感じで葉を広げて虫が来るのを待っていますが,これからようやく虫のごちそう(?)にありつけることでしょう。

 湿地からの帰り道,E3号館あたりではタンポポが咲いていました。こちらも花の盛りですね!

 さて,次の花は何でしょうか?

(2枚目・3枚目の写真は松山先生に撮っていただきました。ありがとうございました)
 

2013年4月6日土曜日

低気圧の接近にそなえて

 みなさまこんにちは,よしだです。

 今日は午後から夜にかけて台風並みに強い低気圧が通過するとのことで,八竜湿地の流量観測にその対策をしてきました。怖いのは大量の雨水が流れ込んで堰や装置を流していまわないかということ。あまりに流量が多ければ観測地周辺全体を水が流れるようにしているのでたぶん大丈夫だと思うのですが,念のため水位計にロープをつなぐなどしてきました。
たまたま真上にアカマツの幹があるので
使わせてもらいました(笑)

 この作業は朝9時前から行ったのですが,雨はまだ降っていなかったものの風は時折強く吹き始めていました。今週初めに満開となったサクラがどんどん花びらを落とし,花吹雪となって水面に白い模様を作っていました。

 八竜湿地の下にある新池のほとりでは,散り始めのサクラと八分咲きのマメナシが競い咲きしていました。今晩の大荒れの天気でサクラは一気に花を落とすかもしれませんね。
左の白い花を咲かせている大きな木がマメナシ,
右のちょっと小柄なピンクの花がサクラです

 天気はどうしようもありませんが,被害が何も起こらないことを祈るばかりです。
 

2013年4月4日木曜日

今日の八竜湿地

 みなさまこんにちは,よしだです。

 大学では新入生を迎えてオリエンテーションやサークル勧誘など,にぎやかな雰囲気に包まれるようになりました。金城の森の木々も日に日に緑の量を増していき,こちらも生き生きとした雰囲気が感じられます。

 今年も大学では,愛知県の「あいち森と緑づくり環境活動・学習推進事業」のご支援をいただき,一般の方むけの里山や湿地を題材にした環境講座を開催する予定にしています。その第一回の講座の募集チラシに使う写真を撮りに,今朝八竜湿地に行ってきました。 木々の新芽の緑がとてもきれいです!

 湿地周辺の森に目を移すと,そこには満開となったコバノミツバツツジが!
この写真の左下に伐採した木の枝が写っていますが,ここはボランティアの方々が森の整備をされているのです。このように地面(林床といいます)に光が当たることでコバノミツバツツジが生育するのに最適な環境ができ,紫の花で彩られた美しい光景を見ることができるのです。

八竜湿地では多く自生しているマメナシも花を咲かせ始めました。次々と花が咲いてゆくいい時期になりましたね。

2013年4月1日月曜日

桜満開の入学式

 みなさまこんにちは,よしだです。

 新しい年度が始まりました。大学では早速今日入学式が執り行われました。3月後半から急に暖かくなって,桜の開花はどうなるだろうと思っていましたが,青空の下,見事に桜満開の中の入学式となりました。

 下の写真は,入学式が始まる前の朝に撮ったものです。多くの人が今日この景色を見たことでしょう。ランドルフ記念講堂のカリヨンの前に2本のサクラが写っています。この2本のサクラ,微妙に色が違いますね。
 
 奥で咲いているのがこちら。淡いピンク色の花の,私たちが普通サクラと言えばこれを指す「ソメイヨシノ」という品種です。漢字では「染井吉野」と書き,江戸の染井村で作られていたことに由来する名前です。
 
 一方の手前で咲いているのがこちら。花は白みが強く,何よりも違うのはすでに葉も一緒に出ていること。染井吉野に見慣れた目にはちょっと違和感がありますね。
  これはヤマザクラといって,野生種のサクラです。華やかなソメイヨシノに比べると葉の緑が目立ち,かなりおとなしい印象がありますが,もともとサクラと言えばこちらだったのです。
 ソメイヨシノは植えられたものと思われますが,こちらのヤマザクラは自生なのかもしれません。大学内の自然林の中でひっそりと,何本も生育しているのを見ることができます。

 下の写真は上のソメイヨシノの下で咲いていた花です。八竜湿地周辺の森で多く見られるコバノミツバツツジです。大きくならない樹木ですが,片隅で精一杯花を咲かせて入学式に彩りを添えてますね。