2012年11月30日金曜日

あすは里山撮影会

 みなさまこんにちは,よしだです。

 11月も今日で最後となりました。紅葉も真っ盛りで,大学に隣接する八竜湿地周辺の森もご覧の通り。一口に紅葉といってもさまざまな色彩で彩られています。
天気がよければこの奥に中央アルプスが見え,
雪の山+紅葉の里となります

 紅葉は落葉樹の葉が緑から黄色や赤,オレンジ色になることですが,上の写真で多くを占めるコナラやアベマキなどは木によって色が少しずつ異なり,紅葉にも「個性」があります。しかし下写真の樹種は,決まって黄色になります。

 一つ目はアオハダです。木の幹が少し緑がかって見えるのでこのような名前がつきました。 この写真の左右の太い幹がアオハダの幹(あまり緑色に見えませんが…),真中が紅葉(黄葉)したアオハダの葉です。葉がうすく光を通しやすいので,とても鮮やかな黄色に見えますね。

 もう一つ黄色に色づくのがタカノツメです。タカノツメ,というと普通はあの赤い唐辛子を指しますが,唐辛子とは全く無関係ながら,同じ名前を持つ木があるのです。一般的にこちらのタカノツメは,「冬芽が鷹の爪を思わせるから」と言われています。一つの点から三枚の小さな葉をつけるのが特徴で,それを覚えておけば簡単に識別できます。
 タカノツメの黄色も鮮やかで,里山ではごくありふれた樹種であることもあって,オレンジ色の多い里山の紅葉の中で色を添えています。

 明日,金城ではプロカメラマンの指導による里山撮影会*が開催されます。美しい里山の紅葉を見ながら,そこにある生物の豊かさを知っていただければと思います。

* 里山撮影会はおかげさまで申込者数が定員に達しました。ありがとうございました。
  

2012年11月28日水曜日

初氷の日のサンプリング

 みなさまこんにちは,よしだです。

 寒くなりました。今朝の名古屋の最低気温は1.9度,平年より4日早く初氷を観測したそうです。大学から北の方を見ると,一度は雪の消えた能郷白山(岐阜・福井県境)が,また少し雪をかぶって姿を現していました。
優美な姿が印象的な能郷白山です

 この寒さの中,今日は大学構内の湧水地での月例サンプリングをしてきました。
 
  この2枚の写真とも「森の中の水たまり」にしか見えませんが,いずれも湧き水でできた小さな湿地です。八竜湿地のようなシラタマホシクサなど希少植物は生えていませんが,たったこれだけの環境の違いでも,土壌水分の多い場所を好むヤシャブシという木が生えていたりして,それなりの生態系ができているのです。

 金城の中にはこのように湧き水がしみ出している場所がいくつもあり,分析用のサンプルが得られるほど水がたまっている場所だけでも6ヶ所を確認しています。それぞれの水を毎月分析して,どのような水質の特性があるのか,あるいは何らかの異常が発生していないか,モニタリングしているのです。
 

2012年11月25日日曜日

鈴鹿市・四日市市の湿地にて

 みなさまこんにちは,よしだです。

 秋の快晴の今日の日曜日,三重県鈴鹿市と四日市市の湿地へ水質調査を行うためのサンプリングに行ってきました。ちょっとしたドライブ気分,と言いたいところですが,三連休の最終日とあってあちこちで渋滞に巻き込まれてしまいました。でも運転中に白山や御岳,南アルプス(聖岳かな?)が見えたので,よしとしましょう。

 まず行ったのは鈴鹿市の金生水沼沢(かなしょうずしょうたく)です。地元の保全活動を行っている方に案内していただいたのですが,水田が広がる平地の一角にあり,近くを流れる鈴鹿川の伏流水で涵養されている湿地なのだそうです。

  しかし,周辺開発によって湧き水の量が減少してしまい,地下30 m からくみ上げた地下水を導水して湿地環境を保っているとのことでした。
 サンプリング中には瑠璃色の美しい鳥カワセミを見ることができました。猛禽類やタヌキ・キツネも来ているそうです。 植物も,侵入した草や木を刈ったりした活動が功を奏して,湿地性の植物がまた復活しつつあるとのこと。頭が下がる思いです。

 一方こちらは四日市市にある御池沼沢(おいけしょうたく)です。かつてはかなり広い面積の湿地だったそうですが,現在は水田化し,東部と西部に分断されています。こちらも導水で水を確保しているのですが,東部地区ではかなり水が少なく,予定していたポイントでサンプリングすることはできませんでした。

 下の写真が御池沼沢の西部地区で,こちらは水があってサンプリングができました。設置された長い導水管が,水の確保に大きな役割をしていることがよく理解できました。
 サンプリングした水はイオンクロマトグラフィーという装置を使って分析を行います。分析が湿地の保全に少しでも貢献できればと思っています。
 

2012年11月24日土曜日

エクステンションプログラム

 みなさまこんにちは,よしだです。

 きょうは3連休の中日ですが,私は薬学部のエクステンションプログラムの担当日となっているため大学にやってきました。普段私が行っている水の分析に関連して,分析方法や水質の状況についてお話をいたしました。

 下の写真は大学の西にある二ツ池です。散歩するのによさそうな雰囲気ですね。実際この池には生活排水が入っていないようで,少なくとも溶存イオン濃度という指標でみれば比較的きれいな水質です。

 写真はありませんが,大学の東側にある雨池(あまいけ)もほぼ同じ水質です。しかしそれはあくまで溶存イオン濃度でのお話。雨池は生活排水が流入しているようで,懸濁物が多く,それを含めると決してきれいとは言えません。このようにさまざまな指標を使って調査することが大切なのだということをお話しさせていただきました。
 

2012年11月23日金曜日

今日はハイキング,のはずが…

 みなさまこんにちは,よしだです。

 きょうはKSCで岐阜の養老山にハイキングに行く予定でした。しかし天気予報通り雨が降って中止に。きのうもおとといも晴れ,明日もあさっても晴れの予報で,ピンポイントで天気が悪くなるとは,ひとえにハイキングを企画した人の普段の行いが悪いからに間違いありません。
 ちなみに企画した人は誰かというと,はい,私です。申し訳ありませんでした。

 というわけで今日は,ハイキングに行った後のおつかれさま会だけが開催されました。もはや何の「おつかれさま」なのかよくわかりませんが(笑),名駅近くの中華料理店で楽しい会食となりました。
 今日の参加者は5名。みなさん回数の多寡はあれど山の経験はあって,その思い出話や,趣味へのこだわりの話など,このような会だからこそゆっくり話ができるよい機会となりました。

 今日行けなかったハイキングの代わりは,来年春になることでしょう。それまでに普段の行いを改めないといけませんね(笑)。
 

2012年11月21日水曜日

カキの実

 みなさまこんにちは,よしだです。
 きょうの名古屋も澄みきった青空で,真っ白な御岳や乗鞍岳を望むことができました。

 さて,今日はカキについて。金城の中にも何本かカキの木が自生していて,少し前から実をつけています。おそらくその多くは,庭木として植えられていたカキの実を鳥などが食べて,その種子が森にやってきて芽生えたものなのでしょう。もちろん,人の手で植えられたであろう木もあります。 
学内で採れたカキの実です!

 ところでこのカキ,放っておくと2年に1回しか実をつけないのをご存知ですか? 隔年結果といって,豊作と不作を繰り返すのです。これは,実や種子をえさ資源とする動物の個体数を低く抑えるための戦略と考えられています。つまり動物は不作時の量に合わせた個体数しか維持できないため,豊作時は食べきれなくなって種子が残る,というわけです。

 隔年結果はカキだけでなくリンゴなどでも見られます。果樹園では春になると花を摘んで,毎年一定数の果実が稔るように調整をしているのです。
 

2012年11月19日月曜日

猿投山にハイキング

 みなさまこんにちは,よしだです。

 雨上がりの昨日の日曜日,名古屋のちょうど東にある猿投山(さなげやま)にいってきました。標高は 629 m と高くはありませんが,濃尾平野のすぐ端にあるため,名古屋からは標高以上に高く見えます。私のいる研究室からもよく見える山です。

 私にとって初めて行く山であり,今回もまた一人(単独)でしたが,名古屋に近いということもあってか人も多く,道の整備も行き届いており,不安なく山歩きを楽しめました。しかも今はちょうど紅葉のシーズン! 猿投山で一番目立ったのはシロモジの黄葉でした。
黄葉のトンネルです!

 常緑の樹木でも,金城では見られない種もあって楽しいです。幹だけですが,下の写真の左右に見える,やや荒れた感じの樹皮の木はアカガシです。大学に自生するアラカシや,植栽されているシラカシと同じ,カシ(樫の木)の仲間です。

 こちらはツガです。これとよく似た葉をもつのがモミで,モミやツガは山地に多く自生している樹木ですが,標高が 600 m もあれば名古屋のすぐ横でもツガが生育できる環境になるのですね。かなりの大木も見ることができました。

 あいにくアルプスの方面は雲がかかってその姿が見えませんでしたが,濃尾平野は山頂付近から一望することができました。下の写真は知多市の臨海工業地帯(左が製油所,右端は造船所)で,名古屋港を行く船がはっきり見えます。

 で,お約束写真がこちら(笑)。金城もご覧の通り,左端のランドルフ記念講堂・私のいるW10 号館から右端のE7号館に至るまで,手に取るように見えます。望遠レンズでの撮影ですが,一つ一つの建物が区別できますね。
 写真はありませんが,東部丘陵の緑地が瀬戸から金城までつながっていることも見て取れました。

 秋の一日,植物を見たり景色を楽しんだりと,とても充実した山歩きでした。
 

2012年11月17日土曜日

アベマキの黄葉

 みなさまこんにちは,よしだです。

 今日は朝から冷たい雨の降る名古屋ですが,昨日は目の覚めるのような快晴の一日でした。朝の瀬戸線の車窓からは,北アルプスの乗鞍岳から御岳,中央アルプス,加賀白山,能郷白山まで,いずれも冠雪した姿をくっきりと遠望することができました。2限の試験監督のお手伝いをした教室も見晴しがよく,雪山となってさらに存在感が増した能郷白山・伊吹山の美しいこと! 幸せを感じます。

 さて学内に目を向けると,優占種であるアベマキの色づき,この場合は黄葉というべきでしょうか,見頃になってきました。下の写真は第三駐車場の脇にあるアベマキの大木です。ヌルデやイロハカエデの赤,常緑樹の深い緑を従え,澄みきった青い空を背景に,黄色がとても映えますね。
 空気が澄むこれからは,学内を散歩するだけでもさわやかな紅葉見物ができます。手前味噌ながら,なんて贅沢なことでしょう。
 

2012年11月15日木曜日

湿地調査にて

 みなさまこんにちは,よしだです。
 今日の名古屋には,冬を思わせるような寒さがやってきました。久しぶりに息が真っ白になりました。

 さて昨日のことですが,私は東谷山へ定期的な湿地の調査に行ってきました。普段人のいない湿地ですが,前にも書いた通り,ぬた場があったりして,イノシシが来ている気配は以前から感じていました。

 そして昨日,以前までただの草地だった場所が,下の写真のように泥だらけになっているではありませんか!

 上の写真だとはっきりしないので,写真に書き込みをすると…
 という具合に明瞭に跡が残っていて,これもイノシシの仕業ですね。いくら「山」と名がつく場所とは言え,ここも名古屋市内ですし,隣にはフルーツパーク,その隣には愛知県立大のある場所です。人の生活圏と目と鼻の先までイノシシが進出してきているのです。
 その一つの原因は,里山の管理放棄にあると言われています。明るい森の里山が放置されて藪になり,藪を好むイノシシの行動範囲が広まってしまったというわけです。人間にとって招かざる客も,実は人間が招いていた…と言うのは,言い過ぎでしょうか?
 

2012年11月12日月曜日

めずらしい?どんぐり

 みなさまこんにちは,よしだです。

 このブログでたびたび取り上げているどんぐりですが,今まで登場しなかったどんぐりを今日は紹介しましょう。

 下の写真左から1番目,2番目のどんぐりがそれで,「シラカシ」という木のものです。1番目が殻斗をかぶった状態,3番目はその殻斗を伏せて撮ったもの。4番目,つまり右端のは近縁の「アラカシ」のどんぐりです。

 アラカシとシラカシはよく似た樹種ですが,どんぐりの大きさはシラカシの方が大きく,形もアラカシがとがって真ん中より少し下が一番太いのに対して,シラカシはずんぐりとしていて真ん中あたりが一番太いことで区別ができますね。でも殻斗はどちらもしま模様で,近い種だけのことはあります。

 ところで,きょうのお題の「めずらしい?どんぐり」について。
 シラカシはこの地域に普通に見られる樹種なのですが,どういうわけか金城の中で自生しているものを見かけたことがありません。この写真のシラカシのどんぐりはW9号館東側のW1号館との間に植栽されたものなのです。金城でカシ(樫)の木といえばアラカシといっていいほど。どうしてこのように樹種が偏ってしまうのか,不思議ですね。
 

2012年11月9日金曜日

ウルシの仲間の紅葉

 みなさまこんにちは,よしだです。

 今週初めにはあまり目立たなかった木々の紅葉も,週末になって少しはっきりするようになりました。特に金城の里山の主力といってよいアベマキが,その葉を黄色く変化させるようになりました。今はサクラの紅葉が見頃となり,移ろいゆく森の木々を研究室の窓から見渡せる幸せを感じています。
 さて,前々回のブログでウルシ科植物であるヤマハゼ,ヌルデの紅葉について書きましたが,もう一つウルシ科でよく見ることができる植物があります。
 「ヤマウルシ」です。これはどこで撮ったかというと,本部棟とW9, W10号館方面との間にある「シャロンの橋」の脇です。この橋を渡る時,すぐ横にあるので気づいた方も多いでしょう。これも触るとかぶれることもあるのですが,漆塗りの原料を取るのはこの木ではなく,中国原産の「ウルシ」という別の植物です。

 一方,大学西端の第3駐車場上の斜面には,前々回に紹介したヌルデが群生していました。
 ヌルデの見分け方をその時書いたのですが,文章だけでは分かりづらかったですね。下の写真をご覧ください。赤い丸で示したように,軸の部分にひれ状の葉のようなものがあります。これが「翼(よく)」です。これで簡単にヌルデと同定することができます。
 翼もちゃんと紅葉していますね。
 

2012年11月5日月曜日

日本のブルーベリー

 みなさまこんにちは,よしだです。

 きのうの日曜日,私は長野県大町市の鷹狩山というところに行ってきました。ここはアルプスの展望台で,紅葉が盛りの低い山々の向こうにある,雪化粧の始まったアルプスの峰々のなんと美しいこと! 晩秋のすばらしい景色に出会えたことに感謝せざるを得ません。
本題と関係ないおまけ写真ですが,しばらく美しい景色をお楽しみください(笑)
爺ヶ岳(左),鹿島槍ヶ岳(中央),五竜岳(右)です。

 さて前振りが長くなってしまいましたが,今日は大学で見つけた実を紹介しましょう。「シャシャンボ」です。一風変わった名前ですね。初めて名前を聞いた,という人も多いことでしょう。でもこの実,何かに似ていると思いませんか?
 そうです,ブルーベリーです。シャシャンボは日本に自生するブルーベリーの仲間の樹木なのです。本場物のブルーベリーに比べると実は小さめで,味も少し物足りない気もしますが,甘くて食べられます。金城にも何本か生育していて,中には今年全く実をつけていないものもありますが,こちらの木は豊作のようです。一枚目の写真のようなダイナミックさはありませんが,秋の深まりの中でのささやかな楽しみのひとつです。
 

2012年11月1日木曜日

赤い色づき

 みなさまこんにちは,よしだです。

 11月になりました。朝晩の冷え込みとともに木々が色づいてくる季節ですね。まだ多くの落葉樹が緑色のままですが,一足早く赤く色づいた木があることに気がついた人もいるでしょう。

 下の写真は,大森・金城学院前駅から大学に向かって坂を上がる途中の左側に見られる紅葉です。これ一本だけですが,緑の木々の中で赤色がとても目立ちます。
 この木はたぶん「ヤマハゼ」でしょう。森の中よりも森のふち(林縁,といいます)に生えることの多い樹木です。

 二枚目の写真は八竜湿地近くで撮ったもので,こちらも赤色があざやかですね。
  これは「ヌルデ」という樹木です。葉の付け根の枝の部分にも翼(よく)といって,その名の通り翼のような,葉の小さいものがついているので簡単に見分けることができます。

 今回紹介したヤマハゼとヌルデ,どちらもウルシの仲間の植物です。敏感な人はかぶれることもあるので注意が必要ですが,ウルシの仲間の植物は他の樹木に先駆けて,しかもきれいな赤色に紅葉するので,私たちの目を楽しませてくれる植物でもあるのです。