2012年10月31日水曜日

ハロウィンの日の湧水調査

 みなさまこんにちは,よしだです。

 きょうは今月生まれの私の誕生日会を兼ねた昼食会が研究室で行われたり,ハロウィンということで仮装した学生さんが何人も実験室にやってきたり,はてまた,すれ違いの学生さんに猫耳をつけられたり(!?)…と,お祭りのような一日でした。

 そんな10月最後の日,大学周辺にいくつもある湧水地点で水質調査のためのサンプリングをしてきました。八竜湿地の下流側の遊歩道では,コナラが今年豊作らしく,コナラのドングリがたくさん落ちていました。

 一方,大学構内の湧水点近くでは,クリが豊作…のように見えますが,実が全然入っていません。クリのイガが豊作と言われても…(苦笑)
 ここの湧水点ではちょっとした水たまりができていて,サンプリングをしていたら,水を飲みに来たジョウビタキのオスが枝にとまり,私を見てすぐに逃げて行ってしまいました。なんだか悪いことをしてしまいました。

 別の湧水点ではカエルが…。こちらはなぜかじっとして全く動きません。

 越冬のために日本にやってきたジョウビタキと,そろそろ冬眠に入るであろうカエル。足元にはドングリやクリのイガ。秋から冬へ季節は移りつつありますね。
 

2012年10月29日月曜日

物理戦 VS 化学戦 ?

 みなさまこんにちは,よしだです。

 昨日までの雨が上がって少し冷たさを感じる風が吹くようになりました。
 きょうは愛知県の森林保全課の方が,以前いただいた助成金で整備した里山の観察路の様子を見に来られました。小野先生と私が,八竜湿地を含め里山全体をご案内したのですが,その中に以前から少し気になっている場所がありました。W5号館北側の,クズが一面覆っている斜面です。最近ここに,黄色の花が咲いているのです。
 黄色の花は外来種としておなじみのセイタカアワダチソウです。昨年はここに生えているのを見た記憶がないので,今年からこのクズ原に侵入してきたのでしょう。

 クズはその土地一面を密に覆って他の植物を排除します。つまり物理的に自分たちの陣地を確保するのです。対する挑戦者セイタカアワダチソウはアレロパシーといって,根から他の植物の生育を阻害する物質を出して排除します。つまり化学兵器で陣地を確保します。

 クズもセイタカアワダチソウもはびこって嫌われる者同士ですが,この物理戦 VS 化学戦,果たしてどちらが勝つのでしょうか? 結果は数年後かもしれませんが,個人的にはとても興味があります。

2012年10月28日日曜日

きのうの金城祭で

 みなさまこんにちは,よしだです。
 
 昨日行われた金城祭で,KSC ブースはお子さんを中心にたいへん盛況だったのですが,「eco Reco aichi」というエコ活動のフリーペーパーを出している「命をつなぐ PROJECT 学生実行委員」の学生さんたちが KSC の活動の取材に来られました。せっかくなので,竹とんぼ作りを体験していただきながら取材をしていただきました。

 竹とんぼ作りの後は八竜湿地も見学していただきました。この頃からブースが多忙になってしまったため,私一人でご案内しました。森ではウルシ科の植物が一足先に紅葉を始め,湿地ではシラタマホシクサが咲き,秋の里山も素敵です。取材に来られたみなさんも,そんな自然のすばらしさを感じていただけたと思います。
↑ 湿地も少し秋めいてきました

 ところで,里山の秋といえばどんぐり。きのうのブログの写真をもう一度使わせていただきますが,このりすくんにはいくつもの種類のどんぐりが使われているのですよ。
 ご覧の通り,アベマキ・コナラ・ツブラジイ・アラカシのどんぐりや殻斗です。どんぐりや殻斗の形,大きさの違いをうまく使い分けることでこんなに楽しい置き物ができます。ちなみに昨日紹介した「くまさん」の顔と胴体は,アベマキの殻斗でできているのですよ。

 これらはみな金城の学内でみつけたもの。金城では普通に見られる樹木のどんぐりです。ただ,年によってどんぐりは豊作だったり不作だったりします。金城祭でも途中で一部が足りなくなって,急きょどんぐり拾いに行きましたが,学内のどこにどの木が生えているか私はおおよそ把握しているにもかかわらず,思ったほど楽ではありませんでした。来年は少し早目にどんぐりを集めておくことにしましょう。

2012年10月27日土曜日

KSCブースは大盛況

 みなさまこんにちは,よしだです。

 今日の金城祭は,天気が良かったこともあって,とてもにぎやかになりました。KSC のブースもお子さんを中心に大盛況でした!
 どうです,このにぎわい! 実はKSCスタッフの手が足りなくて,お断りをしたこともありました(ごめんなさい…)。こんなにたくさんの人に来ていただくとやりがいを感じますね。
 河村先生の「ぶんぶんゴマ」も子供さんに大人気でした。


 メイドさんも竹とんぼ作りに挑戦です!

 今日の力作を少し紹介しましょう。こちらはどんぐりとどんぐりの殻でつくったリスさんとくまさんです。ボンドで貼り付けるだけでこんなにかわいい置き物ができます!

 こちらもリスさんですが,森のきのこも表現されています! 

  参加してくださった方々はみな満足そうでしたので,楽しんでいただけたと思います。KSCブースへのご来場ありがとうございました!


2012年10月26日金曜日

金城祭の準備

 みなさまこんにちは,よしだです。

 金城祭を明日にひかえ,KSCでもブースの設営を行いました。クラブハウスの部室から会場となるE5号館203号室へ荷物を運び,机を並び替えて飾り付けの開始です! 風船やモール、段ボールなどを使って部屋がどんどんにぎやかになっていきます。

 同時進行で配布する竹炭の袋詰めもしました。今回も竹炭はたくさん用意してありますよ~。


 準備は午後6時前まで続きました。外からでもKSCの場所はよくわかるようにしてあります。
みなさん来てくださいね~
(しつこいようですが、E5-203ですよ~)

2012年10月25日木曜日

秋の香り・秋の空

 みなさまこんにちは,よしだです。

 今日は午前中,名古屋市内の他の大学に授業に行っていました。その際見かけたのが下の写真の花。
 ご存知キンモクセイです。ちょうど花の盛りで,少し甘さを感じるとてもよい香りがします。庭木としてもよく植えられるので,どこからともなくやってくるこの香りに秋を感じる人も多いことでしょう。

 さて,空を見上げるとちょっと珍しい現象が起きていました。幻日(げんじつ)です。下の写真の左,木立の上にあるのが本物の太陽ですが,右の電柱の上の方に明るい光が見えませんか? これが幻日です。もっと大きな幻日はその名の通り,太陽と見間違えるくらいはっきりとした光を放ちます。
 この現象,上空に浮かぶ雲の中の氷の状態が,ある条件を満たした時に発生するものだそうで(私はちゃんと理解していないので詳しいことは省略です…) ,なかなかお目にかかることはできません。

 そしてこの時,同時にこんな現象も起きていました。太陽の真上に,太陽に対して反りかえるような形でうっすらと虹のようなものができていました。目でははっきり見えても写真で表現するのは難しいですね。中央少し上に虹のようなものが見えませんか? 見えるような,見えないような…色調やコントラストを変えてみましたがこれが限界です。
 これは環天頂アークという現象で,雨上がりに見える虹とは全く別物です。上の幻日と同じ条件の時に現れるのだそうです。

 これらは夏の水蒸気の多い空ではなかなか見られないので,このような現象が見られるのも「秋らしさ」なのかもしれません。

2012年10月24日水曜日

竹とんぼの準備

 みなさまこんにちは,よしだです。

 金城祭を目前にして,きょうはKSCの出し物である竹とんぼの準備をしました。竹を割いて竹とんぼの羽根を作るのです。
 下の写真の左のものは切ってきた竹です。これを 10 cm くらいの長さに輪切りにして,幅 2 cm くらいの短冊状に割り,そこから皮をはぐように薄い板を切り出したのが右の箱に入っている羽根です。
 板の厚さは 1 mm ~ 3 mm とまちまちですが,そのあたりは温かい目で見ていただきたいと思います(苦笑)。なにせ,薄く均等に切り出すのがとても難しいのです…。本当ならKSCのメンバーが作業をしているところをお見せすべきでしたが,私も四苦八苦していて写真を撮ることすらすっかり忘れてしまいました…。

 金城祭ではこの羽根に穴をあけて用意しておきます。みなさんには,羽根の左右のバランスを取り,ボンドで竹串の柄をつけていただいて完成となります。もちろん羽根に絵を描いたりすると,自分だけの竹トンボになって楽しいですよ!

2012年10月21日日曜日

日本で3番目に高い山 (2)

 みなさまこんにちは,よしだです。

 前回に引き続き,北アルプスに登った時の話をしていきましょう。今日はその二日目の様子です。

 実は一日目に小屋に着いた時,一つ気がかりなことが発生していました。名古屋を出る時は晴れだった二日目の予報が,雨に変わっていたのです。実際,目が覚めた午前3時にはしっかりと雨が降り始めてしまいました。朝食を食べながらこのまま進むべきか撤退すべきか迷いましたが,ひとまず小屋から45分程で行ける奥穂高岳を目指すことにしました。

 出発は午前5時。雨だけでなく風も吹いています。まだ真っ暗な中,ヘッドライトの明かりを頼りに岩場を登っていきます。このコンディションですから,周りに人影もありません。6時前に山頂に着いた時には明るくなっていたものの,霧で何も見えず…それどころか一時的に雨が雪に変わり,吹雪(!)となりました。
↑ ここが日本で3番目に高い場所です

 ここでもまた撤退するかどうか迷うのですが,これから前穂高岳方面に向かうという人たちと合流し,単独登山者×5 の即席パーティで行動することにしました。この先の前穂高岳までの道は岩場続きで,霧で視界が悪い上に雨で滑りやすく危険が伴います。しかしお互い見ず知らずでも複数で行動することで注意力を高めることができました。
↑ 鎖を使って急降下しています

↑ 「崖っぷち」です!

 ようやく最後の目的地,前穂高岳に着きました。一時的に霧が切れたものの,頂上からの「眺め」はこれがせいぜい。中央の雲の下には,一日目にここを見上げた上高地があります。しかし,この後上高地に着くまでずっと雨が降り続き,景色を楽しむことはできませんでした。

 前穂高岳頂上はこんな殺風景な場所です。でも敢えて紹介したのは,ここで北アルプスの隆起を調査する,というニュースがあったからです。
国土地理院「日本アルプスでのGNSS観測を実施予定」

 これを見ると,私が登った前日まで調査をしていたようですが,それはともかくも,本州中部地方の隆起が,私たちの住む濃尾平野や大学のある丘陵地の地質の形成に大きく関わっている,という話を聞いたことがあります。

 例えば八竜湿地は粘土層と砂礫(細かい石や砂)層の間から水が湧き出しているのですが,粘土も砂礫も上流部(山地)の風化作用でできた岩や石が川で運ばれてきたものです。ということは,風化作用が続けばやがて山は消え,下流部での堆積もなくなるはずですね。しかしそれが延々と続いたのは,山地がどんどん隆起したからなのだとか。

 天候の急な悪化で少々残念な山登りでしたが,野生の動物たちに遭ったり,あるいは湿地の成り立ちについて考えてみたりと,よい機会となりました。
 すでに 3000 m 級の山々は長い冬に入ってしまい,次に登るには来年まで待たなければいけませんが,みなさんも機会があればぜひ訪れてみてください。雄大な自然に触れることで,何か「発見」があるはずです。


2012年10月20日土曜日

日本で3番目に高い山 (1)

 みなさまこんにちは,よしだです。

 10月も下旬になり,今日は秋らしく過ごしやすい天気となりました。自然を求めて出かけるには心地よい季節ですね。そこで今回は里山から離れて,北アルプスに先月私が登った時のお話をしましょう。

 私が今回登ったのは,順に日本第8位で標高 3110 m の涸沢(からさわ)岳,3位で 3190 m の奥穂高岳,11位で 3090 m の前穂高岳で,一泊二日の行程です。

 初日の土曜日,松本から早朝の臨時列車・バスを乗り継いで登山基地となる上高地に入りました。時刻はまだ朝の6時台ですが,すでにたくさんの登山客でにぎわっています。

 登山計画書を提出し,640分に歩き始めましたが,5分もしないうちに有名な景勝地,河童橋に到着します。ここから見る穂高連峰は絵になる景色です。下の写真に写っている山のなだらかなUの字の稜線の左側に奥穂高岳が,右側に前穂高岳があります。これからこの山に奥から回り込んで登り,翌日Uの字の稜線を左から右へ通って,手前に降りてくるのです。

 河童橋から 11 km 程の間は,梓川に沿ったほぼ平坦な道を歩いていきます。途中ではニホンザルの群れにも会いました。子を背負っているサルもいました。人に慣れているのか,人を気にする様子はありませんが,慣れすぎないようにしてほしいものです。

 途中の景色はこんな感じです。穂高の山々と梓川を左手に見つつ,歩きやすい道を進んでいきます。

 平坦な道の終点が「横尾」です。このまま道をまっすぐ進むと「日本のマッターホルン」こと槍ヶ岳に行きますが,今回はここで左に曲がります。下の写真の茶色のつり橋を渡って,いよいよ山道が始まります。

 谷筋の山道を 5 km ほど進んでいくとだんだん視界が広がっていきます。ここは涸沢(からさわ)という場所で,かつてここにあった氷河が谷を丸くけずり取ったため,このような地形になっています。それにしても美しい景色です! この時点ではまだ本格的な紅葉とはなっていませんが,紅葉の最盛期は毎年107日頃です。

 ここでのんびりと1時間近く休み,お昼ごはんとしました。これから一気に標高を稼いで穂高連峰の稜線上にある山小屋まで上がります。下の写真の草もみじを抜けて,岩場をこれから歩いていきます。森林限界をすでに超えていることが分かりますね。

 1340分,上高地からちょうど7時間で宿泊先の穂高岳山荘に到着しました。この日は登山客が多くて混雑し,一畳(=一枚の布団)2人(!)になるとのことでした。私のように一人者だと,両側知らない人と並んで寝ることになります。寝返りするのも落ち着きませんね(苦笑)。

 まだ日没まで時間があるので先に涸沢岳に登っておきます。山頂から南を見ると,赤い屋根の穂高岳山荘が眼下に,明日登る奥穂高岳と前穂高岳がそれぞれ正面中央と左に見えます。前後左右に 3000 m 級の山々が連なり,「アルプス」の名に恥じないダイナミックな山岳景観が展開します。

 小さな島国と呼ばれる日本ですが,このような高山地帯があることも生物の多様性を生んでいる要因の一つです。それは高山植物だけではありません。動物ではライチョウがその最もよい例ですが,本州中部では標高の高い地域にしか生息しないオコジョを涸沢岳で見ることができました。
すばしこくて撮るのが大変でした(笑)

 ここまでが一日目の様子ですが,続く二日目は明日お話しすることにしましょう。

2012年10月19日金曜日

金城祭に向けて

 みなさまこんにちは,よしだです。

 昨日までの雨も止んで,今日は一日快晴でした。朝の瀬戸線からは北アルプス乗鞍岳・御岳・中央アルプス・白山・能郷白山と望むことができました。もうすぐこれらの山々は白い輝きを増していくことでしょう。
 大学の中では,青空をバックに小鳥が梢に止まっているのを見つけました。おなかの白さが目立つ鳥ですが,キツツキの仲間のコゲラでしょうか?
↑ 鳥に詳しい方のコメントをお願いします

  さて,今日はKSCの全体会の日でした。今日のお題は「国際フォーラムおつかれさま」と「金城祭に向けての準備」です。
 金城祭ではKSCもブースを設けて手作り工作教室をします。その一例が下のぶんぶんごま(左)と竹とんぼ(右)。他にも松ぼっくりツリー作り,竹炭の配布などを予定しています。
 KSCのブースはE5号館203講義室です。27日土曜日の10時からオープンしていますので,ぜひみなさまお越しください!

2012年10月15日月曜日

金城祭に向けて竹の伐採

 みなさまこんにちは,よしだです。

 大学間里山交流会,人と自然の共生国際フォーラムと大きなイベントが続いて,次はおよそ 10 日後に金城祭が迫ってきました。KSC では例年通りブースを設けて,竹炭の配布や竹とんぼ作りなどの工作体験を企画しています。

 それで今日は,竹トンボの原料となるタケ(モウソウチク)の伐採をしてきました。他の先生方はみなさんお忙しいので,作業は野良仕事に強い(笑)私一人だけ。今年出た若いタケでない方がよい,とのことでしたので,昨年以前に出た,しかも太くてしっかりとした一本を選びました。
日が傾いて少し暗くなってきた竹林です

 しかし,いざ伐倒したまではいいものの,太いのは重い!(当たり前ですが) それを斜面上で 1 人で約 1 m に切っていくのは少し骨が折れます。何とか 5 本切り出して,斜面の上まで運び,台車で研究室まで持ってきました。しばらく乾かしてから竹トンボの羽を作ります。
なぜかドラフトの前にタケの束が…(笑)

 KSC では楽しい企画を用意していますので,ぜひ金城祭では KSC ブースにお越しください!

2012年10月14日日曜日

第6回 人と自然の共生国際フォーラム

 みなさまこんにちは,よしだです。

 昨日(13日,土曜日),長久手市の愛・地球博記念公園で「第6回 人と自然の共生国際フォーラム」が開催され,私たち KSC も活動を報告・展示してきました。今回はその様子を報告します。

 当日は天候に恵まれ,藤が丘から乗った「リニモ」の車窓からは遠く御岳や北アルプス乗鞍岳がクッキリと見えるほどでした。最寄りの愛・地球博記念公園駅で降りると,金城のキャンパスを見つけることができました。
ガラスの反射が映り込んでいますが,左下にランドルフ記念講堂と
W10号館,中央に本部棟が見えます。背後の大きな山は伊吹山です。

 会場内の広い多目的室では,助成金をいただいて活動した9団体の報告が行われ,KSC4番目の発表でした。炭焼きなどの里山の整備や,里山散策を楽しんでいただくための仕組み作りをみんなで紹介しました。発表を終えると会場から大きな拍手が送られました。
少し緊張しながら?発表しています 

かなり緊張しながら?質疑応答です

 一方展示ブースでは,今回作成したパンフレットや2週間前に作った竹炭の配布,iPod touch による里山案内システムの「里山touch」などの展示を行いました。一つの部屋を,マイ箸づくりなどの愛知淑徳大学の「エコのつぼみ」さんと共同で使用し,マイ箸作りを見学したり,竹炭をお分けしたりと交流もできました。
(個人的には,私は愛知淑徳大で講義を受け持っていたりもするのですが…笑)

メインテーブル?に竹炭を用意しています

 KSC としての仕事はここまで書いたとおりですが,今回学生さん3名には特別な任務がありました。愛知淑徳大の3名の学生さんとともに,オーガニックコットンで作られたフェアトレードの服を紹介するミニファッションショーのモデルさんです! みなさん口をそろえて着心地がいい,デザインもよくこのまま着て帰りたくなるくらい,と言っていました。
本番前ですが,バッチリ決まってます!

 夕方5時過ぎ,フォーラムのイベントが無事に終了しました。外に出るときれいな夕焼けが! 
大観覧車のシルエットが印象的ですね

 このあと会場の一室で懇親会が開かれ,何人もの先生方とお話しましたが,KSC の活動を評価してくださるコメントをいただきました。今回私たちの取組みを広く紹介でき,それに対して多くの方が関心を持っていただいたことを,大変うれしく思います。

 みなさま一日おつかれさまでした。

2012年10月10日水曜日

フォーラム事前打合せ(と繊維のダイヤモンド)

 みなさまこんにちは,よしだです。

 13日に開催される「第6回人と自然の共生国際フォーラム」に向けて,今日は最後の打ち合わせを行いました。どのような出し物をするのか,誰が何を担当するのか,何を持っていくのか等々,最終的な確認が中心でした。しかし,フォーラムの二週間後には金城祭があってKSCも展示をするので,そちらの準備も始めなければならず,しばらくはちょっと忙しくなりそうです。

 さて,下の写真はフォーラムと全く関係ないのですが,私が学内で拾った小枝です。枯れかけた葉っぱと一緒にとても鮮やかな緑色のものがついていますね。これはヤママユガという蛾のまゆ玉です(虫が専門の小野先生に間違いないことを確認していただきました)。

 まゆ玉を拡大してみましょう。ふかふかなように見えますが,意外に堅いです。
 それにしても美しい緑色ですね。このまゆ玉,カイコのまゆ玉と同様に糸を取ることができ,ヤママユガが「天蚕(てんさん)」という別名を持つのも頷けます。信州の安曇野地方では,ヤママユガを飼育して糸を紡いで,淡い緑と美しい光沢の絹糸が作られています。しかし収量が大変少なく,ちょっとしたショールでも10万円(!)ぐらいするそうで,ゆえに「繊維のダイヤモンド」と呼ばれています。

 ヤママユガ自体は全国的に生育していますが,きれいなまゆ玉を見つけたのはこれが初めて。何か宝物を見つけたような気分です!

2012年10月9日火曜日

第8回 大学間里山交流会 (2)

 みなさまこんにちは,よしだです。

 前回に引き続いて,この週末に宇都宮大学で開催された「大学間里山交流会」について報告します。今回は2日目(7日,日曜日)のエクスカーション(見学会)の様子です。

 この日は宇都宮から東に向かって車で一時間程のところにある茂木町(もてぎまち)を訪問しました。茂木町は茨城県水戸市で太平洋にそそぐ那珂川(なかがわ)の中流域にあり,宇都宮大学との連携で里山の再生を進めている町です。ちょうど稲刈りが終わった頃で,田んぼでは稲を干すはざ架けや稲わら干しがなされていたり,道路には栗が落ちていたりと,秋らしい景色が広がっていました。
干された稲わらが人形のようですね

  道中,道端に動物の死がいを見つけました。タヌキに似ていますが,イタチの仲間の「アナグマ」です。その名の通り穴を掘って生活する動物ですが,道に出てきた時に車にはねられてしまったのでしょうか。
 私は本物のアナグマを見るのが初めてだったのですが,みなさんも興味津々のようでした。ちなみにこのアナグマ,回収されてはく製にされることになりました。

 最初に訪問したのが,那珂川の流れを部分的にせき止めて上流から流れてきたアユなどの魚を捕まえる「やな」です。宇都宮大学の飯郷先生によれば,ここで捕獲されるアユの9割が天然物であることや,そろそろサケの遡上が始まっているとのこと。アユは日本のほぼ北限,サケはほぼ南限にあたるそうで,自然の恵みが豊かな川ですね。見学の時もウグイ,外来種のコクチバスのほか,アユが1匹かかりました。

↑ やなもそこに行く橋もすべて木や竹で作ってあります

 次に訪れたのが,茂木町でたい肥を作っている「美土里館」(みどりかん)という施設です。町から出る生ごみ,間伐材,竹,もみ殻,森林の落ち葉,牛ふんといった生物資源(バイオマス)がここに集められ,自然の発酵作用でたい肥がつくられています。そのたい肥をまた町内の農家で使うことで,循環型の社会が築かれるというたいへんよくできた仕組みができています。
↑ できあがったたい肥の山です。臭いは全くありません!

 続いて町内にある「そばの里まぎの」で,大変おいしいおそばをいただきながら,古口町長さんと話し合いとなりました。茂木町を,足元の里山を活性化させるために大変に熱心に,強い意志で施策を進められていることを感じました。いま茂木町で大きな課題となっているもののひとつは「獣害」(イノシシなどによる農業被害)だそうで,いかにその個体数を減らすか,捕獲個体を売れるようにするのか苦心されているようでした。
↑ 中央が熱く語る古口町長さんです

 午後は日本の棚田百選にも選ばれた「石畑の棚田」を見学しました。かなり規模の大きな棚田で,付近には耕作放棄地も見られる中にあって,手入れが行き届いている様子がうかがえました。土手にはヒガンバナが咲き乱れ,まさに色を添えていました。

 このように充実した2日間を過ごしたのですが,最後に次回(来年)の開催地について京都女子大の高桑先生から「名古屋でどうか」との提案があり,了承されました。言うまでもなく金城が開催校(の一つ)になるということです。主催者として準備が大変ではありますが,金城での里山の取組みを多くの大学の先生方・学生さんに実際に見ていただくとてもよい機会を与えてくださいました。