2012年5月27日日曜日

八竜緑地保全ワークショップ

みなさまこんにちは、よしだです。

 昨日(526日、土曜日)、八竜湿地とその周辺の森林を含めた八竜緑地の保全に向けたワークショップが金城学院大学で行われました。これは、湿地の保全活動をされているボランティアのみなさん、緑地の管理者である名古屋市、そして緑地の土地の一部を所有する金城学院大学の三者で意見を出し合い、課題を整理してよりよい将来像を描いていこうとするものです。合わせて30名以上もの人が参加しました。

 まずは現状の説明がそれぞれなされました。金城からは小野先生が利用状況について、私が八竜湿地の水質の状況について説明しました。

 それが終わると各グループに分かれて、20-30分間、一人ひとりが思っている問題点、課題と、その対応策をどんどん書きだして紙に貼っていき、まとめていきます。 

 各グループで意見をまとめ、みなさんに発表します。湿地の保全について、周辺森林の保全について、緑地の利用についてなど、さまざまな視点から、たくさんの意見が出ました。

 熱心な意見交換ゆえ時間を超えてしまい、当初予定していた八竜緑地見学は希望者のみで行うことになりました。それでもたくさんの人が見学にも参加しました。
 昼過ぎまでの短い時間でしたが、内容の濃いものになったと思います。ワークショップは今後さらに2回行い、 八竜の緑地がいつまでもすばらしいものとなるよう、保全の方向性を決めていきます。

 最後におまけの写真です。緑地見学の時に見つけたスイカズラの花です。特徴的な花ですね。
 
1, 3, 4枚目の写真は文学部の木村さんの撮影によるものです。使わせていただき、ありがとうございました。)

2012年5月25日金曜日

KSC全体会

みなさまこんにちは、よしだです。

 きょうは今月の最終金曜日ということで、KSCの全体会議が行われました。今回はKSCに興味を持ってくれた1, 2年生の学生さんが3名参加しました。KSCの新しいメンバーに加わってくれることを期待しています。

 きょうの全体会の話題の一つ目は、目下進行中の里山案内パンフレットのデザインについて。デザインの大枠が決まり、色づかいは「金城らしさ」とすることで決まりました。また、あすの八竜湿地の緑地保全ワークショップについて、来週行う予定の小学生のヒメボタルの見学会について、再来週行う予定の炭焼きについて連絡があり、今年もオープンキャンパスでは、学内で作った竹炭を配布するだけでなく、炭焼き小屋の案内もしたい、との話が出ました。これからどんな内容にするか決めていきますが、オープンキャンパスではぜひともKSCのブースにお越しください。

2012年5月24日木曜日

センダンの花

 みなさまこんにちは、よしだです。
 大学の自然林は日に日に緑の濃さを増しているように感じます。そんな中、紫色の花を見つけました。センダンの花です。小さな花がひとかたまりになって咲いているので、遠くからでもよく目立ちます。

 近づいてみると、花の一つ一つはとても華奢な印象を受けます。あたりは花の甘い香りがしていました。
 この花が受粉すると、あの白い実がなります。実を食べてもらうまで、センダンはこの冬もまた気長に鳥を待つことでしょう。

2012年5月22日火曜日

金環日食

みなさまこんにちは、よしだです。

 日付が変わってきのう(521日)は金環日食でした。ご覧になった方も多いでしょう。私は天文ファンではないのですが、めったにない現象であり、見るだけでなく写真も撮ろうと思い立ちました。狙ったのは、大空に刻々と形を変えながら移動する太陽をいくつも写し込んだ写真です。デジタルカメラならば何枚もの写真をパソコン上で合成すれば簡単にできますが、立派なデジカメを持っていない私が今回使ったのがこちら。
 やけに大きいですね。フィルムサイズが4×5インチ(実際は102×127 mm)なので、通称「シノゴ」という規格のカメラです。このカメラなら、一枚のフィルムを何回も露光させる「多重露光」という手法が簡単にできてしまいます。

 大学の第三駐車場にカメラをセットし、構図を決めてあとは太陽を5分おきに撮っていけば思い描いた写真ができるはず…だったのですが、物事はそんなにうまくいかないものです。一番困ったのは、午前7時頃から大きくて厚い雲がかかってしまったこと。せっかく等間隔で進んだ太陽が、飛び飛びになってしまいました…。

 しかし、雲が厚いので光を充分に抑えてくれて、普通のデジカメでも日食の様子が撮れました。 
↑ 右上からかけています

 幸いこの雲は金環日食10分前には去っていき、青空が広がってきれいな金環日食を見る/撮ることができました。あたりが少し暗くなって何とも不思議な光景でした。

 さて、写真の出来はどうでしょうか? 金城らしい構図を作ってみたのですが、フィルムなので、みなさんが忘れたころに出来ばえを報告できることでしょう(笑)。

2012年5月17日木曜日

ラムサール条約

みなさまこんにちは、よしだです。

 少し前の話になってしまいましたが、先週の土曜日に、豊田市にある東海丘陵湧水湿地群がラムサール条約湿地の登録候補地になった、というニュースがありました。
http://www.city.toyota.aichi.jp/pressrelease/1239675_7011.html

 今回登録されるのは、豊田市内の矢並(やなみ)、上高(かみたか)、恩真寺(おんしんじ)の3つの湿地とその周辺地域で、これらに湿地にはシラタマホシクサやシデコブシ、ミカワシオガマといった希少種が生育しているのだそうです。ラムサール条約登録地として、身近な所では名古屋港の藤前干潟がありますが、わき水で形成される「湧水湿地」では初めての登録になるとのことです。

 言うまでもなく八竜湿地も、これらの湿地と同じタイプの湧水湿地であり、希少種の群生地になっています。豊田市の湿地群が条約に登録されるということは、この地方の湧水湿地の重要性が世界レベルで認められることになる、と言ってもよいでしょう。

↑ 八竜湿地の湧水部分(左側の斜面)です 

2012年5月15日火曜日

ハリエンジュの巻き枯らし

 みなさまこんにちは、よしだです。

 きょうは外来種のハリエンジュ(ニセアカシア)の巻き枯らしについてお伝えします。以前にも書いたように、学内ではハリエンジュがあちこちで生育しており、何らかの対策をしなければいけません。そこで今回は「巻き枯らし」という方法を試してみました。

 巻き枯らしというのは、樹木の樹皮をはいでしまい、樹木を立ったまま枯らす方法です。枯れるまで時間はかかりますが、何より安全で簡単ですし、立ち枯れの木は鳥が巣を作るのに利用できるかもしれません。外来種の駆除だけでなく、林業の間伐の手段としても使われています。

 まずは幹にのこぎりで切り込みを入れていきます。高さ 1m 前後の2か所に、ぐるっと一周切れ目を入れます。

 のこぎりやなたで、縦にも切れ目を入れて、あとは力を入れてベリベリベリ…
 ハリエンジュの樹皮は思ったよりも厚かったものの、一旦剥けだすと簡単に全周はがれました。樹皮の下はつるつるしていますが、ハリエンジュらしく刺がいくつも残っていました(かなり痛いです)。

 今回はひとまず4本だけでしたが、時間を見てもう少しやってみようと思います。


2012年5月14日月曜日

東部丘陵研究者の会 (2)

 みなさまこんにちは、よしだです。

 前回に引き続き、先週金曜日~土曜日に開催された東京大学生態水文学研究所での研究集会について書きます。今回はその発表の様子をお伝えすることにしましょう。

 この研究集会は、もともとこの研究所の利用者の研究発表の場として以前からあったのだそうですが、今年からは東部丘陵に関する研究の発表も合わせて行われるようになりました。従って、書内の雨量と川の水量との関係といった水文学の研究や、所内の森林を用いた生態学の研究の発表が多くありましたが、シデコブシや私の湿地など、東部丘陵に基づいた発表もありました。
↑ ポスター形式での発表です
(小野先生に撮っていただきました)

 私の研究も関心をもってくださった方が多く、ディスカッション時間の90分があっという間に終わってしまいました。結果を考察する上でいろいろとヒントをいただきました。

 さて、発表が終わると懇親会の始まりです。様々な立場・研究テーマを持つ人たちの集まりですから、アルコールも手伝って、私はいつも以上に話に花を咲かせていました(笑)。
 ところで、懇親会のお料理に出てきたこれ、一見普通のから揚げですが…
実は食用ガエル(ウシガエル)です! 研究所の方々が瀬戸市内で捕まえたものだそうです。しかし、これが鶏のから揚げの中に混じっていたら、おそらく誰もカエルとは気がつかないでしょう。むしろ鶏よりもおいしいかも…!?

 一旦お開きになった後も自主的に(?)続けた懇親会も、気がつけば日付も変わり…有意義な一日が終わりました。
(翌土曜日も見学でしたが、こちらは割愛いたします)

2012年5月13日日曜日

東部丘陵研究者の会 (1)

 みなさまんこんにちは、よしだです。

 11日(金曜日)から12日(土曜日)まで、瀬戸市にある東京大学生態水文学研究所において開催された研究集会に行ってきました。これは、研究所の利用者や、愛知県の東部丘陵地域の自然環境の研究者が集まって発表を行い、情報交換をするというものです。

 ところで、なぜ瀬戸市に東京大学の施設があるのでしょうか? それは、明治時代にこの地域は焼き物の生産などで一帯がはげ山となってしまい、土砂崩れが頻繁に発生していたことから、東大に対策を依頼したのが始まりなのだそうです。
 ちなみに金城学院大学のある場所も、大学が設置された約60年前ははげ山でした。いま私たちは、山に木が生えているのが当たり前と思っていますが、歴史の中で見ればそれはごく最近のことなのです。

 今回は研究所の見学についてお伝えします。
 まず最初の写真は、所内にある焼き物を焼くための窯の跡で、室町時代に作られたものです。それくらい瀬戸の焼き物の歴史は古く、それは同時に森林への圧力の歴史でもあったのです。 

 現在でも、一部にははげ山だった時代の名残が見られました。真ん中の白い部分は花崗岩で、植物が定着しにくい地質です。

 しかし、治山工事が進められたこともあって、多くは緑に覆われています。からっとしたすがすがしい天気で、濃淡入り混じった木々の緑がきれいでした。

 ところで、この研究所の中には川をせき止めてプールのような施設もあるのですが、これは上流から流れてくる水の量を測定するもので、測定開始は何と1929年! 80年以上もデータの蓄積があるのは日本でもここだけです。

 最後にご覧いただく写真は、場内にある鳥の巣箱の中の様子を見せてもらったもの。シジュウカラのヒナが身を寄せ合って親鳥が餌を運んでくるのを待っていました。かわいらしいですね。

 次回は研究発表会についてお伝えします。

2012年5月10日木曜日

八竜湿地の自然林

みなさまこんにちは、よしだです。

 八竜湿地とその周辺の自然林は、名古屋市の管理する市民緑地として整備されていますが、保全活動は市民団体の方々が長年されており、金城学院大学も八竜湿地の本体と自然林の一部が所有地となっています。そこでこの三者が中心となってワークショップを開催し、自然林の将来像を描いて、それを目標に保全活動を進めていこうということになりました。きょうは名古屋市の八竜湿地の保全に関わる部署の方々が来学され、月末にも始まるワークショップの事前打ち合わせを行いました。
大学から見た八竜湿地周辺の自然林です
中央左のわずかに開けたところが湿地です
(昨年秋に撮ったものです)

 湿地を保全するためには、湿地だけがあればよいわけではありません。周辺に森があり、しかも適切に管理されていることが必要です。私たちも保全のために何ができるのかを考え、行動していきます。

2012年5月9日水曜日

窯開き

 みなさまこんにちは、よしだです。

 今日は先日行った炭焼きの窯開きをしました。前回は金城学院幼稚園の子供さんたちが見学に来ましたが、今回も見学に来てくれました。
 子供さんたちにとって、炭焼き窯はちょっと大きかったですね。窯の中から竹炭を取り出すのは大変だったようです。でも、見学に来れなかったお友達の分も一緒に、取り出した竹炭をおみやげとして幼稚園まで持って帰りました。

 「竹がどうして炭になるの?」の答えは、少し難しかったかもしれません。しかし、炭焼きを通して自然のおもしろさ、不思議さ、大切さのほんの一部でも分かってもらえたら、私たちもうれしいです。

2012年5月8日火曜日

シイの黄色と、ハリエンジュの白

 みなさまこんにちは、よしだです。
 きのうのブログでシイの花について触れましたが、もう少しわかりやすい写真を撮ってきました。研究室から見えたシイを反対側から見るとこんな感じです。かなりの大木ですね。

 そして、青臭いにおいの発生源(笑)がこれです。  

 さて、学内ではシイとともに白い花が咲いています。これも大きな木ですが、マメ科植物のハリエンジュ(別名ニセアカシア)です。

  こちらはシイと違ってとても甘い香りがします。間近で見ていると、ミツバチがたくさん訪れて、蜜をせっせと集めていました。
 ハリエンジュはミツバチの蜜源植物として重要で、「アカシアの蜂蜜」として売られているものの多くはこの花を由来とする蜂蜜なのです。しかしハリエンジュは外来種で、成長が早い上に繁殖力が強く、現存の生態系を圧迫する恐れが指摘されています。大学内でも多数生育し、伐採してもすぐ萌芽更新(切り株から新しい芽が出ること)するため、私たちも少々対応に苦慮しています。

 

2012年5月7日月曜日

シイの花

みなさまこんにちは、よしだです。
 長い連休が終わりました。私自身は連休中に新しい調査地で作業をしたりして、遠出はせず普段の休みと同じ感覚でしたが、今日から久しぶりに「現実」に戻ったという方も多いことでしょう。

 さて今回ご覧いただくのは、私にとっての「現実」(?)の場所である実験室からの眺めです。
↑ 部屋の一部を入れて「窓」らしく…

 窓の外の、黄色の木が目につきますね。これはシイの花です。昨年よりも少し遅く花の時期を迎えました。稲穂のような黄色の雄花がたくさんつくため、まるで木がまるごと黄色ように見えます。大学内では、シイの大木はこの写真のランドルフ記念講堂の入口の他、図書館の北側やE5号館の南側などでも見ることができます。

 ところで、連休中に郊外の森に出て、あるいは金城のみなさんは久しぶりに今日大学に来て、何だか青臭いような、お世辞にも快適とは言えない香りに気付いた人はいませんか? においの発生源はこのシイの花なのです。この強力なにおいで集まった虫に花粉を運んでもらい、受粉するのです。

2012年5月3日木曜日

雨でもタケノコ掘り

 みなさまこんにちは、よしだです。

 日付が変わってきのう(52日)になってしまいましたが、名古屋は一日中雨が降り続きました。そんな思わしくない天気でしたが、きのうはたけのこ掘りをしてきました。「おとといもしていたじゃないの?」と言われそうですが、おととい私は授業があったので、みなさんが採っている様子を見てすぐ退散。自分でも掘ってみたかったのと、連休中に放っておけばどんどん大きくなってしまうことから、研究室の学生さんと一緒に、雨天決行で竹林に出かけた次第です。

 いくら竹林の中とはいっても、雨はやっぱり降ってくるので、全身ぬれてしまいます。一方で雨で土が柔らかくなって掘りやすくなっていました。今日出たばかりと思われるたけのこもあって、初めての人も多かったのですが、みな思い思いに収穫を楽しんでいました。全部で20本以上採れたようです。
↑ 大きいのも小さいのも、どちらもおいしそうです

 とはいっても、これでも現れたたけのこの、まだほんの一部に過ぎません。竹林に隣接する自然林の中でも、たけのこがいくつも出ていました。モウソウチクの繁殖力のすごさを改めて実感しました。

2012年5月1日火曜日

タケノコ掘り

 みなさまこんにちは、よしだです。

 きょうはKSCメンバーでタケノコ掘りをしました。
 大学の自然林の一部には、モウソウチクの竹林になっている場所があります。炭焼きの材料のタケも主にここから伐採してくるのですが、春になるとタケノコが地面から顔を出してきます。
↑ この写真の中にタケノコはいくつあるでしょう??? 

 タケノコは春の味覚ですね。今日は探すまでもなくタケノコがあるので、まずは掘りやすそうな場所で挑戦です。ところが、思ったよりも地下茎が深くてちょっと苦戦してしまいました。
 ↑ なかなか底が見えてきません…

 でもやがてはこんな感じで一個収穫! タケノコ掘りはやってみるととても楽しいです。

 ところで、今回は連休を挟んでいたためか、すでにこんなのも…(苦笑)
もうタケノコとは言えませんね…。これは仕方がないのでそのまま大きくして、いずれ炭焼き用に伐採することにしましょう。

 金城の竹林では、「管理」と言うほど厳密なことはしていませんが、このようにタケノコもタケも利用しています。それがなくなると、モウソウチクの大増殖・急拡大が始まってしまい、日本各地で見られるような深刻な問題が起きてしまうのです。