2012年4月30日月曜日

湿地の水質分析

 みなさまこんにちは、よしだです。

 連休のこの3日間は天候が良く、新緑を楽しんだという方もおられることでしょう。私はというと、八竜湿地の水の分析をしに、名大に行ってきました。金城で使っている分析装置では測定できない、水の中にわずかに含まれる元素を測るためです。

 湿地の水を保存するため、私が普段使っている容器がこれです。
 容量は約 50 ml。今回使った分析装置は、この容器いっぱいの水の中に1マイクログラム、すなわち、1グラムの100万分の1混ざっている元素が検出できます。でも、何のためにそんな細かい分析をするのでしょうか?
 その答えは、元素には、植物の成長に必要なものもあれば、たとえ微量であっても成長を妨げるものもあるからです。そういった好ましくない元素が入っていないかどうかを確認しておくことも、湿地を保全する上でとても大切なことなのです。

2012年4月27日金曜日

炭焼き

 みなさまこんにちは、よしだです。

 雨上がりのすっきりとした青空の下、今年度初の炭焼きを行いました。今回は学内にある金城学院幼稚園の子供たちがやってきて、炭焼きの様子を見学していきました。子供たちは初めて見る炭焼き窯に興味津々です。普通のタケが真っ黒になるなんて、不思議ですよね。
 竹を窯に入れ、窯に蓋をして、薪に火がついて、煙にまかれるようになったところで見学はおしまいです。煙にまかれるのは大人でもつらいことですからね。でも大人は我慢、我慢(笑)。

 一方、小屋の中で栽培している原木シイタケに巨大サイズのものがあってびっくり。薪が安定して燃えるようになったところで焼いて、みんなで食べました。ジューシーでうま味たっぷり!
 
 今日の温度の上がりは順調で、16時に窯口を閉じて一連の作業を終了しました。小屋の片隅ではカタツムリがのんびり這っていました。過ごしやすい暖かな一日、無事に炭焼きを終えることができました。

2012年4月25日水曜日

八竜湿地見学

 みなさまこんにちは、よしだです。

 今日の午前中はヒメボタルの調査でしたが、午後は私の所属する薬学部の先生方を八竜湿地にご案内しました。先週もご案内したばかりですが、見学を希望される先生が多く、今週も開催となりました。今回はこの4月に金城に赴任された先生が多かったのですが、湿地に興味を持っていただけるのはたいへん嬉しいことです。

 先週と変わって八竜湿地では、コバノミツバツツジの花がほぼ終わり、マメナシの花も個体によっては終わりかけていました。一方、ハルリンドウは相変わらずたくさんの花が咲いていて、私たちの目を楽しませてくれました。そして、ガマズミの白い花が見ごろを迎えていました。
↑ 小さな花をたくさんつけています

 今回の見学でも、咲いている花はもちろん、東海地方に固有の植物の紹介や、かつて金城学院大学が八竜湿地の保全に重要な役割をしたことなどを説明し、汗ばむ陽気の中、約90分の見学を終えました。
↑ 楽しそうに写真を撮っています(笑) 

 みなさま、おつかれさまでした。

金城育ちのヒメボタル

 みなさまこんにちは、よしだです。
 今日はまず、午前中に行われたヒメボタルの調査についてお知らせします。

 先週金曜日(20日)にヒメボタルの保全活動をされている若杉さん、安田さんのご協力を得て、学内にヒメボタルの幼虫を捕まえるためのトラップを仕掛けました。今日はそのトラップの回収です。安田さんからは、名古屋城ではトラップを80個仕掛けても全然捕まらなかったことも…というお話をうかがっていたので、金城は50個で大丈夫だろうかと心配しながら、現地に向かいました。
 仕掛けたトラップを回収し、ビニールシートを広げていざ開封です。すると早速歓声が…ヒメボタルの幼虫がいました! これからさなぎになろうとしている、大きく成長した幼虫が!
 私も最初は、手に取ったトラップはダンゴムシやアリしか入っていないものばかりでしたが、終わり頃になって2匹見つけることができました。結果として全部で9匹です!
1匹隠れていますが…

↑ 幼虫はこんな形です

 若杉さん、安田さんによると、50個のトラップで9匹も見つかるなんて「驚異的」なのだとか。それだけ金城にはヒメボタルがたくさんいる、すなわちヒメボタルの生息に適した環境があるということです。

 最後にご覧いただくのは、若杉さんが飼育しているヒメボタルの成虫です。「金城育ち」のヒメボタルもやがてこのように成虫に羽化して、光りながら森の中を飛ぶ姿が見られることでしょう。今からとても楽しみです。

2012年4月24日火曜日

KSC全体会

みなさまこんにちは、よしだです。

 今日はKSCの全体会といって、KSCメンバーの学生・教職員が集まり、お昼ご飯を食べながら打合せを行いました。この打合せは一ヶ月に一回行っているもので、今回は現在作成中の里山案内パンフレットのデザインについて意見を出し合ったりしました。

 今年は新入生オリエンテーションが暴風雨で流れてしまい、新入生に対してKSCを紹介する機会がありませんでした。それもあってか、KSCに入会を希望する新入生は今のところまだいない、とのこと。
 自然に興味のある学生さん、ぜひKSCに入りましょう! KSCではみなさんの入会をお待ちしています。

(写真は岩崎先生に撮っていただきました。ありがとうございました)

2012年4月23日月曜日

自然林の新緑

 みなさまこんにちは、よしだです。

 私がいるのはW10号館の4階で、窓の外には、眼前にそびえるランドルフ記念講堂を取り囲むように自然林が広がります。この自然林の高木層を形成するアベマキやコナラといった落葉広葉樹の緑が、質・量ともに毎日変化していく様子が居ながらに見て取れます。
↑ 名古屋の町並みを背景に自然林を撮ってみました

  コナラやアベマキは、カシノナガキクイムシによる食害を昨年もいくらか受けましたが、多くの個体は枯死することなく新芽を出しています。若々しい緑に生命力の強さを感じます。

2012年4月21日土曜日

みろく山ハイキング

 みなさまこんにちは、よしだです。

 今日はKSCメンバーの教職員5名で、春日井市にある弥勒山(みろくさん)へハイキングへ行ってきました。弥勒山は愛知県と岐阜県の県境にある標高437 m の山で、名古屋近郊の手軽なハイキングスポットの一つです。山は里山林と人工林で覆われているほか、ふもとの築水池の周辺にはシデコブシなど、東海丘陵要素植物群が生育する湿地が点在しています。

 今日は直前まで天気が心配でしたが、雲が多いものの雨が降ることはなく、ハイキングにはちょうどいいくらいの気温でした。山道の周辺にはコバノミツバツツジが咲き乱れ、コナラやリョウブなど落葉樹の若葉が芽吹き、春らしい景色を見ながら歩きました。

 途中、急な階段状の箇所もありましたが、1時間30分ほどで山頂に到着。東には岐阜県東濃地方の山々、西には名古屋の市街地が見渡せました。双眼鏡でよくよく探してみると、ランドルフ記念講堂のカリヨンの三角屋根を見つけることができました。
↑ 名古屋の市街地が眼下に広がります

 頂上ではお楽しみのお昼ごはん。お湯を沸かして温かいみそ汁やコーヒー付きでした。さらには果物やおやつまで(笑)。

 今回のハイキングで、私にとって最大のできごとといえばギフチョウが見られたことです。頂上では、交尾をしている2羽にオスが12羽割り込もうとする様子も見ることができました。ギフチョウは人呼んで「春の女神」。里山の春を満喫できた一日でした。

ホタルの調査

みなさまこんにちは、よしだです。

 今回は学内で今日(20日、金曜日)に行われたホタルの調査についてお伝えします。
 「金城にホタルがいるの?」と驚いた方も多いことでしょう。普通ホタルというと、幼虫が川で育つゲンジボタルやヘイケボタルを想像するかと思いますが、金城にいるのは「ヒメボタル」という種類。幼虫は森林でカタツムリなどを食べて成長する陸生のホタルです。これまで学内外の人たちから目撃情報が寄せられていたことから、専門家をお招きして調査をすることになりました。

 今回来ていただいたのは、大学のすぐ東にある雨池に生育するヒメボタルを中心に保全活動をされてきた若杉さんと、名古屋城外堀のヒメボタルを中心に活動されてきた安田さんです。
 初めに名古屋市内のヒメボタルの生息状況などをお聞きしたのち、学内の目撃情報のあった場所を見ていただきました。いずれもホタルがいておかしくない環境とのことでした。そこで、若杉さんが用意してくださった調査用のトラップを仕掛けることにしました。

 トラップは蓋に穴をあけたフィルムケースに、えさとして刺身用のイカ(いわゆるイカソーメンです)をいれたもの。これを地面に埋めるのですが、場所が分かるようにビニールひもをつけてあります。
 同行した小野先生、私も含めた4人で手分けをして、約50個のトラップを仕掛けました。トラップは週明けに回収します。果たして幼虫は見つかるでしょうか?

2012年4月19日木曜日

湿地見学

みなさまこんにちは、よしだです。

 日付が変わってしまいましたが、今回は18日(水)に行った湿地見学についてお伝えします。
 17日にも研究室の学生さんと見学に行きましたが、今回は薬学部の先生方・学生さんをご案内するというものでした。八竜湿地に初めて来たという人も多く、よく晴れたポカポカ陽気の中、ここがとても素晴らしい場所であることを理解していただけたと思います。私は、大学の自然林や湿地のよさを一人でも多くの方に知っていただきたいと思っているだけに、見学を楽しんでいただけたのは嬉しい限りです。
 コバノミツバツツジの花を接写してみました。

 こちらは昨日(17日のブログで)紹介できなかったマメナシの花です。少しずつ咲き始めていました。ナシやリンゴの花と似ていますね。

 私事ですが、この花を見ると学生時代を思い出します。毎年ゴールデンウィークの頃、私はリンゴ農家で花摘み(大きなリンゴの実を作るために、余分な花を落とす作業)のアルバイトをしていたのです。斜面に広がるリンゴ畑に白い花が咲き乱れ、その向こうには残雪に輝く南アルプスの山々が聳え、言葉ではうまく表現できない美しい景色でした。楽しかった学生時代の思い出です。

2012年4月17日火曜日

花盛りの八竜湿地

みなさまこんにちは、よしだです。

 暖かくよく晴れた今日、研究室の学生さんと一緒に湿地の見学に行きました。八竜湿地や新池の周りでは、ハルリンドウの花がまさに満開で、たくさんの花が咲き誇っていました。こんなにたくさんのハルリンドウが一度に咲いているのを見たのは、私も初めてです。

 里山に目を転じればこちらも見ごろを迎えたコバノミツバツツジが…
 マメナシの花も咲き始め、まさに花盛りです。こんなに美しい景色が身近にある幸せを感じた一日でした。ぜひみなさまも八竜湿地にお越しください。

2012年4月16日月曜日

そろそろサクラは見納め

みなさまこんにちは、よしだです。
 49日のブログでは、サクラが満開になったことをお伝えしました。それから一週間、今は花吹雪の舞う時期になりましたが、まだ少し花が残っています。下の写真は、大学の隣の新池のほとりにある二本のサクラで、ぼんやりと水面に花が映っています。
 こんな景色が見えるのもあと少し。自然林では花の主役が次々と交代していきます。明日は研究室の学生さんたちと八竜湿地に行く予定ですが、どんな花が見られるでしょうか?

2012年4月14日土曜日

アオキ

みなさまこんにちは、よしだです。

 学内では、この自然林の代表格であるアベマキ、コナラがようやく芽吹き始めました。その足元でよく目につく植物の一つに、常緑樹のアオキがあります。
 アオキは葉が大きく、冬でも青々としていることからその名がついたと言われます。庭木としてもよく植栽され、葉に白い斑点がある「斑入り」のものが人気なのだそうです。そう思ってみると、自然林の中にも斑入りのアオキがよく生えています。これは、庭木として植えられていたアオキの実が鳥に食べられ、種子が自然林に散布された結果なのでしょう。同様に園芸植物のナンテンもあちこちで見かけます。このような現象は、市街地に近い森林の特徴だと言えます。

 そのアオキは今、花を咲かせています。 葉が大きい割には小さな花ですね。やがてできる実の一部は、また市街地へ運ばれていくのかもしれません。

2012年4月13日金曜日

才井戸流れ

みなさまこんにちは、よしだです。

 今日は春らしい陽気の中、才井戸流れの見学に行ってきました。才井戸流れとは、守山区志段見地区にある湧水地で、広く平らな土地のあちこちから水が湧き出している市内でもめずらしい場所です。湧き水は小さな水たまりを作りながら、幅 1 m 程の川に流れ込んで行きます。一帯にはスナヤツメをはじめとして、絶滅が心配されている動植物が生育しているそうです。
 この場所は周辺開発 との兼ね合いが議論されているのですが、小さな川もわずか数百 m 進んだ所では水質の悪化が進んでおり、生物への影響が心配されます。

 生態系を保全することはとても重要なことですが、それを永続的にしようとすると、さまざまな対策が必要となってきます。八竜湿地もそうですが、ここでもそんな難しさを実感しました。

 ところで、見学中に川の中に現れたのは…
マムシです! これには一同びっくり! 後で長い枝を使って川から救出されたのですが、まるで水生生物のように水の中を泳いでいました。

 最後になりましたが、本日案内をしていただきましたみなさま、ありがとうございました。

2012年4月9日月曜日

満開のサクラ

みなさまこんにちは、よしだです。

 今日はかなり暖かな一日でした。入学式から一週間、学内では遅れていたサクラの花が満開です。すでにいろいろな花が咲いていたとはいえ、サクラが咲くと一気に華やいだ雰囲気になりますね。

↑ おととい撮った写真ですが…

 学内で目立つのは植栽されたサクラですが、自然林の中にも自生と思われるサクラがあちこちにあります。そのうちW6号館の西側の遊歩道脇と、体育館の東側、湿地へ下りる遊歩道脇のサクラはかなり大きなものです。森の中のサクラは、他の樹木の陰になって花を見てもややはっきりしませんが、こんなところにもサクラが!という発見があるものです。

2012年4月5日木曜日

八竜湿地のコブシ

みなさまこんにちは、よしだです。

 42日のブログで紹介したシデコブシ、これはコブシとタムシバという樹木の自然交雑によって生まれたと言われています。そしてもう一つ、一般的にシデコブシの生育するところにコブシは生育しない、とも言われています。


 ところが、いま八竜湿地の中で白い花を咲かせている樹木がありますが、これは「コブシ」なのです。湿地を周回する遊歩道から見ることができます。
 八竜湿地の中にシデコブシはありませんが、湿地の下流側にある新池の築堤の下に生育しており、ごく近いところにコブシとシデコブシの両方が生育する、やや例外的な場所なのです。

 さて、コブシの花は白色にピンク色の筋模様が入っています。シデコブシとよく似ていますが、シデコブシよりも大きな花を咲かせます。八竜湿地のコブシにはまだつぼみもあったので、しばらく花を楽しめそうです。

2012年4月4日水曜日

春の嵐が過ぎて

みなさまこんにちは、よしだです。
 昨日は全国的に大荒れの天気でしたが、名古屋では夕方頃暴風雨となりました。土砂降りの雨が強風にあおられ、窓の外にあるランドルフ記念講堂が霞んでしまうほどでした。

 今日大学の中を歩いてみると、嵐の後らしく小枝や葉があちこち散乱していました。しかし、多くの落葉樹が葉を展開させる前だったからか、思ったほど多くはありませんでした。それどころか、あの風にもかかわらず、昨年の秋に役目を終えたはずの枯葉をまだつけている樹木がありました。
 ヤマコウバシ、という木です。 普通の落葉樹は枯葉を落して冬を越しますが、ヤマコウバシは葉を落とさずに新芽の展開を待つ変わった樹木です。夏は目立たない木ですが、冬は落葉した森に枯葉が残って目立つので、今の時期は簡単に見つけることができます。
 なぜヤマコウバシは葉を落とさないのでしょうか? 私もよく知らないのですが、あれだけの暴風雨でも落ちないくらい枯葉がしっかりついているのですから、葉を残すことに何か特別な意味があるのかもしれませんね。

2012年4月2日月曜日

入学式

みなさまこんにちは、よしだです。
 温かく穏やかな晴れ間となった今日、大学では入学式が行われました。入学式を彩る花といえば誰もがサクラを思い浮かべることでしょう。しかし今日になっても多くの木は数輪から一分咲きと、少し間に合わなかったようです。

 その代わり、大森・金城学院前駅から大学までの道のりに、見ごろを迎えた花がありました。街路樹として植えられているシデコブシです。若葉の展開に先立って白~淡いピンクの大きな花を咲かせていました。


 シデコブシは愛知・岐阜・三重あたりの主に湿地周辺にしか生育していない、とても珍しい植物です。八竜湿地の少し下流側でも見ることができます。しかし、開発や森林への遷移で湿地が少なくなって生育域も狭くなり、自生しているものは絶滅危惧種になっています。一方でこの地域の固有種ということから、所々で街路樹として植えられているのです。新入生をシデコブシの花が迎えるというのも、よいものだと感じました。

2012年4月1日日曜日

ハルリンドウの花

みなさまこんにちは、よしだです。

 4月になりました。新しい年度の始まりですね。本格的な花の季節を迎え、名古屋ではおとといサクラの開花が宣言されましたが、サクラについては後日お伝えすることにして、今日は八竜湿地で見ごろを迎えたハルリンドウを紹介します。

 「リンドウ」というと、長野県の県の花となっているように、「高原の植物」のイメージが私にはあったのですが、このハルリンドウは名古屋周辺の主に湿地帯でも見ることができ、八竜湿地では部分的に群落を形成しています。
 今年は冬の寒さの影響で開花がいつもより遅れていました。ハルリンドウの花は太陽の光を浴びて咲くので、晴れた日に観察されるとよいでしょう。

 最後に、美しい花の写真をご覧いただきましょう。リンドウらしい青く清楚な花ですね。この花を見ているだけで幸せなことがありそうな気がします。